恋人との喧嘩は「ワーキングメモリの容量」で解決できる

psychology 2019/08/07
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Point

■「ワーキングメモリの容量」が大きいほど、恋人との問題が深刻化することを予防できると判明

■反対にワーキングメモリの能力に乏しい人は、パートナーとの問題を悪化させる傾向にあった

■「デュアル・タスク(ながら運動)」をすることでワーキングメモリを鍛えることも可能

人の記憶は、一度に複数の事柄を意識的にとどめておくことができます。

例えば、会話をするとき相手の話を一時的に覚えておくことで適切な返答が可能になりますし、勉強やスポーツなど、現在取り組んでいる作業中にいくつかの物事や手順を覚えておかなければなりません。

こうした作業・運動に必要な記憶を認知心理学の用語で「ワーキングメモリ」と呼びます。

アメリカ・ノースカロライナ大学の新たな研究により、ワーキングメモリの容量が、恋人との間に生じた問題を解決することに重要な役割を果たしていることが明らかになりました。

つまりワーキングメモリの容量が大きければ大きいほど、恋人との問題を解決する能力が高く、深刻化の予防につながっているというのです。

研究の詳細は「Journal of Experimental Psychology」上に掲載されています。

Romantic partners’ working memory capacity facilitates relationship problem resolution through recollection of problem-relevant information.
https://psycnet.apa.org/record/2019-40707-001?doi=1

ワーキングメモリが恋仲を深める

実験では、101組の新婚カップルを被験者として募り、自分たちの「ワーキングメモリの容量」に関する評価付けの質問票に答えてもらいました。容量とは、継続する作業中にどれだけ多くの情報を保持できるかという能力です。

その後、各々のカップルにはお互いの間で生じている問題について話し合いをしてもらいました。そして4ヶ月後および8ヶ月後に、話し合った問題について思い出してもらい、その問題の現在の状況(深刻さ)について報告してもらっています。

すると研究チームは、ワーキングメモリの容量が大きい人(カップル)ほど、その後の深刻さは減少していることが発見されたのです。

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研究主任のレヴィ・ベイカー氏によると、ワーキングメモリに含まれる基礎的な認知プロセス(注意力・記憶力・言語表現)は問題の処理能力に大きく関与しています。例えば、家計の管理や家事の役割分担、パートナーに対する信頼や嫉妬の問題に対処する能力です。

また容量の大きい人は、問題を話し合っている最中や直後に、それに関連する情報を思い出す能力にも長けていました。問題解決には、思い出せる情報が多い方がプラスに働きます。

反対にワーキングメモリの容量が小さい人ほど、パートナーとの関係性を悪化させる傾向にあることが判明しました。

ベイカー氏によると、ワーキングメモリの弱さは、生まれつき記憶力に乏しいという「性質的原因」と注意力の欠如や疲労・ストレスにより相手の話を聴けなくなる「状況的原因」にあると言います。

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しかし幸運なことにワーキングメモリは鍛えることが可能な記憶力です。

その方法の一つに「デュアル・タスク(ながら運動)」があります。これは同時に2つのことを行うというトレーニングで、例えば、洗い物をしながら簡単な暗算したり、シャワーを浴びながら頭の中でしりとりをするというようなものです。

こうしたながら運動を続ければ、ワーキングメモリの容量も改善されることが期待されます。ただし「テレビを見ながらポテチを食べる」というような運動は効果がありません。

今後は夫婦の仲の良さの秘訣の一つに、「ワーキングメモリ容量」が常識となるかもしれませんね。

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reference: psypostyomidr / written by くらのすけ

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