最初期人類の頭蓋骨を発見、「顔」を復元へ

history_archeology 2019/08/30
Credit: John Gurche/Matt Crow/Cleveland Museum of Natural History / 再現されたアナメンシス猿人の顔

Point

■最初期の人類アウストラロピテクス・アナメンシスの、ほぼ完全な頭蓋骨がエチオピアで発見される

■ルーシー以前の状態の良い化石はこれまで見つかっていなかったため、この発見が進化のシナリオに対して与えてくれるヒントは大きい

■調査チームは頭蓋骨を基に、アウストラロピテクス・アナメンシスの頭部を再現した

380万年前の初期人類の、非常に状態の良い頭蓋骨が、エチオピア北東部で発見されました。

アウストラロピテクス・アナメンシス(アナメンシス猿人)として知られるこの種は、これまで頭蓋骨や歯のかけらなど不完全なものしか見つかっていなかったため、この発見が人類進化の謎の解明を1歩先に進めてくれることが期待されています。

クリーブランド自然史博物館などのチームが、この骨をもとに頭部を復元し、「Nature」にて論文を発表しています。

A 3.8-million-year-old hominin cranium from Woranso-Mille, Ethiopia
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1513-8

Age and context of mid-Pliocene hominin cranium from Woranso-Mille, Ethiopia
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1514-7

硬い食物に適した頭蓋骨

「非常に良い状態」といっても、当初は頭蓋や頬骨などはバラバラに発見されました。それらをパズルのように組み合わせることで、これまでにないほど状態の良い頭部が完成したのです。

調査チームはこの頭部の形態学的な特徴を、「ルーシー」が属することで有名なアウストラロピテクス・アファレンシスを含む初期の人類の化石と比較しています。

その結果、これがアナメンシス猿人のものであり、その裏付けとしての年代も一致していることが分かりました。

Credit: Dale Omori/Cleveland Museum of Natural History

写真から分かるように、380年前当時の人類の頭蓋骨は現代の私たちのものとは大きく異なり、どちらかといえば類人猿に近くなります。このことから、いわゆる「ヒト」の形に頭蓋骨が進化したのは進化の後半であったことが推察できます。

この頭蓋骨が他の初期人類と異なる点は、そのサイズと構造です。イヌ科と同程度の大きさの頭蓋骨は、長く強固な作りとなっています。これは、非常に硬い食べ物を噛むことに耐えうる構造です。

過去の研究でも、アナメンシス猿人の歯が植物中心の食事に適していることが示唆されていましたが、今回の発見により、その予測が裏付けられることとなりました。

マックス・プランク研究所の古人類学者、ステファニー・メリージョ氏は、「彼らは非常に硬い食物を処理するために、こうした巨大な顔になっていたのです」と語っています。

進化のシナリオが変わる?

ルーシーは約200~300万年前のものですが、今回の化石はさらに古く、時代の大きなギャップを埋めてくれる存在となりました。

またこの発見は、アナメンシス猿人が最初期のアウストラロピテクスであることの証拠として加えられるものでもあります。

そして新たな類似点が見つかったことから、この発見が、アウストラロピテクス・アファレンシスが少しずつアウストラロピテクス・アナメンシスに取って代わっていったという、これまで受け入れられていた進化のシナリオに変化を与えるものとなるかもしれません。

Credit: Dale Omori/Liz Russell/Cleveland Museum of Natural History

つまり、両方の種は進化の過程で枝分かれして、10万年程度は同じ時代を生きていたかもしれないということです。今回の発見をした研究者たちは、エチオピアの地で15年に渡って活動を続けてきました。彼らは今後も、この研究がもたらす新たな知見を探り続けるでしょう。

 

 

reference: sciencealert / written by なかしー

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