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死んだ星が近くの伴星から物質を奪う「吸血鬼星」を観測 (3/3)

2021.01.27 Wednesday

2020.01.27 Monday

前ページ「矮新星」の急激な増光現象 スーパーアウトバースト

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偶然の発見

Credit:NASA/JPL-Caltech/Wendy Stenzel

今回の現象をケプラー探査機が捉えたのはまさに偶然でした。

ケプラーはもともと恒星の正面を惑星が通過することで起きる減光を捉えて、系外惑星を発見する任務を行っていました。

今回の研究者たちも別の目的でデータを調べていましたが、このときケプラーのアーカイブ内に隠れていたスーパーアウトバーストの観測データを発見したのです。

この現象は非常に太陽に近い方角で起きていたため、他に観測している望遠鏡はありませんでした。しかもケプラーは30分おきに観測データを取得していたため、スーパーアウトバーストの起きる初期段階を非常に詳細に収めていました。

記録されたデータは全現象を捉えていて、輝度は最初ゆっくりと上昇していましたが、ある瞬間急激に明るくなっていました

急激に明るくなる理由は、理論的に予想されていました。しかし、ゆっくりとした初期の増光の原因は現在も謎のままです。降着円盤に関する標準理論では、この理由を説明することができません。

矮新星はもう何十年も研究されていて、新しい発見をすることはかなり難しいと考えられていました。

しかし、降着円盤は白色矮星だけでなく、超大質量ブラックホールや新たに形成された星の周りなど宇宙のいたる所に見られるものです。

降着円盤の理解のために、このデータは貴重なものになるといいます。

ケプラーの系外惑星を検出する手法でまれな矮新星を検出できるという事実は、今後、同種の現象を研究していく上で、非常に有益な報告です。

今後研究チームは、ケプラーと同様の系外惑星探索を行っているTESSミッションのデータなども分析して、研究を進めていく予定だと言います。

偶然見つかった吸血鬼星の輝きには、まだ多くの謎が秘められているようです。

「暗黒エネルギーは存在しない」ことを示す新説が登場

reference: NASA/ written by KAIN

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