水平方向に広がる「新種のオーロラ」が発見される

geoscience 2020/02/01
フィンランドで撮影された「デューン」。画像奥には普通のオーロラがあるが、手前側に伸びる薄い霧のシートのようなものが、水平方向のオーロラ「デューン」である/Credit: Kari Saari
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  • これまでに観測されたどのオーロラにも当てはまらない新種のオーロラがフィンランドで観測される
  • 一般的なオーロラは垂直方向に伸びるが、今回のオーロラは水平方向に広がっていた

2018年10月、フィンランドの夜空にかかる奇妙なオーロラが、アマチュア天文家のマティ・へリン氏により撮影されました。

これまでに見たことのないオーロラだったこともあり、へリン氏は、ヘルシンキ大学の天体物理学者ミンナ・パルムロス教授に画像データを送り、説明を求めました。

パルムロス教授と研究チームが調べた結果、なんとまったく新しいタイプのオーロラであることが判明。

オーロラは、まるで砂丘の波紋が伸び広がるような様子から、「デューン(The dunes)」と命名されました。

では、このデューンと普通のオーロラとは何が違うのでしょうか。

研究の詳細は、1月28日付けで「AGU Advances」に掲載されています。

Citizen Scientists Discover a New Auroral Form: Dunes Provide Insight Into the Upper Atmosphere
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1029/2019AV000133

通常の「オーロラ」はどうやって起きる?

オーロラ発生の原因は、太陽風にあります。これは、太陽が宇宙空間に放出するプラズマの風です。

太陽風はものすごいスピードで移動し、2〜3日ほどで地球にぶつかります。この時、太陽風をブロックしてくれるのが、磁気圏という地球の壁です。

Credit: auroranavi

ところが、ブロックされた太陽風は、地球の夜側(太陽に向いていない側)に流れ、そこから磁気圏に侵入してきます。そして、地球最後の砦である大気層にぶつかり、太陽風のプラズマ・エネルギーが、大気中の酸素や窒素を励起(外から強いエネルギーを受けることで、高エネルギー状態になること)させます。

こうして発光する現象が、オーロラです。

発生場所は、一般的には高度80km〜500kmの超高層大気である電離層だといわれています。

「デューン」が特別な理由

それでは、普通のオーロラとデューンとでは、どこが違うのでしょうか。

パルムロス教授によると、それは「オーロラが伸び広がる向きにある」そうです。

一般的なオーロラ/Credit: auroranavi

上の画像を見れば分かるように、一般的なオーロラの波状は「垂直方向」にかかります。では、デューンの画像を見てみましょう。

大気重力波が画像の手前から奥に伸びている。そこに斜め上横から太陽風があたり、大気重力波の波紋の一部分だけを光らせている。Credit: AGU Advances/Palmroth et. al.

これは、フィンランドの別々の2地点で撮影されたデューンです。

どちらもオーロラの波状が「水平方向」に伸びているのが分かります。教授によると、こうしたオーロラは観測前例がないとのことです。

「デューン」の仕組みを解明

デューンが水平方向に伸びる仕組みについて、研究チームは次のように説明します。

まず、デューンの発生地点は、画像データ分析により、高度100km付近であることが特定されています。

そして、この高度まで上昇した大気重力波が、温度の低い2つの大気層ー高度80kmの反転層(inversion layer)と高度100kmの中間圏界面(Mesopause)ーの間に挟まれます。

Credit: Jani Närhi

すると、酸素や窒素を含む大気の波は、狭い領域内を横方向、つまり水平方向に伝播します。この領域内に太陽風のプラズマが衝突することで、デューンのようなオーロラが出来上がったというわけです。

左に向かって広がる波紋のようなものが重力波。/Credit:Andrew Miskelly/Twitter

動画のように、大気重力波は水平方向に拡散することが知られています。

この拡散する大気重力に高エネルギーの太陽風が命中した結果、水平方向のオーロラができたのではないかと、研究チームは考えています。

明快な説明ですが、その一方でパルムロス教授は「これも仮説にすぎない」と話します。

というのも、高度80km〜100kmというこの領域は、気球レーダーで観測するには高すぎ、宇宙船を送るには低すぎるのです。そのため、知られている情報も少なく、大気重力波がどのような動きをするのかもよく分かりません。

研究チームは、今後、デューンのデータを手がかりに、この謎に満ちた領域について解明していく予定とのことです。

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