- 新しいロボットは内部バッテリーを必要としない
- 活動に必要なエネルギーは酸素と金属から供給される
- 金属を食べるロボットが実現するかもしれない
現在もっとも普及しているリチウムイオンバッテリーですが、提供できるエネルギー総量にくらべて比重が高く、手の平サイズ未満の小型ロボットの電源には最適とは言えません。
そこでアメリカの研究者が発想の転換を行い、そもそもバッテリーに依存しないで済むロボットを考案しました。
このロボットは内部バッテリーを持たない代わりに、生物のように酸素を吸い込み、漫画のなかのロボットのように、金属を食べることでエネルギーを生産でます。
さらに金属を食べているときは、なんとリチウムイオン電池の実に13倍以上のエネルギー密度を発揮したとのこと。
今回の研究によって、「ロボットが金属を食事代わりに食べる光景」が、SF世界を抜け出して現実化への道を進みだしたようです。
研究内容はペンシルベニア大学のミン・ワン氏らによってまとめられ、2月4日に学術雑誌「American Chemical Society」に掲載されました。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsenergylett.9b02661
酸素と金属からエネルギーを作る
今回のロボットの大好物は、アルミニウムと亜鉛です。
エネルギーの生産方法を簡単に説明すると、上図のようになります。
まず吸い込まれた空気中の酸素が電極から電子、電解質ゲルからは水を受け取り、水酸化物イオン(OH)が生じます。
次に生じた水酸化物イオン(OH)が、電解液ゲルの下に置かれたエサとなるアルミニウムを酸化させ、電子を放出させます。このとき、アルミニウムはもう一方の電極になっている状態です。
そして放出された電子は電流を作り、ロボットのモーターを動かします。
また、この発電システムはロボット(車)に連結されており、電力を得たロボットが進むことで、発電システムは常に真新しいアルミニウムから電子を取り出すことができます。
さらに多少効率は落ちますが、動画のように円運動をさせても、同じ部分のアルミニウムから何度も電子を取り出すことができました。