
- 人間の髪はストレスが増えると白髪化し、減ると再色素化される
- 発見のヒントになったのは再色素化された痕跡が残る縞模様の髪だった
- 白髪化のメカニズムが解明されれば、アンチエイジンク薬の開発にもつながる
ギロチンでの処刑を宣告されたマリーアントワネットは、ストレスで髪を白髪化させたと言われています。
新しく行われた研究のプレプリントで、人間の毛はストレスによって白髪化する一方で、脱ストレスすることで色が戻ることが示されました。
これは既存の「一度白髪になったら戻らない」とする説に反する結果です。
また今回の研究が正しければ、白髪化と再色素化を制御している因子が全身の皮膚中に存在することになります。
その因子を刺激する薬剤を開発すれば、薬によって白髪を元の色に戻すこもできるようです。
「飲む白髪染め薬」はどこまで現実に近づいているのでしょうか?
白髪は一斉に元の黒髪にもどれる

これまでの白髪の研究では、白髪化する過程を調べることが主でした。
白髪化しつつある毛は、先端部分に色があるものの、新しく毛が作られている根本付近では白くなっています。
しかし研究者は様々な毛を調べる中で偶然、逆パターンである「先端が白く根本に色がある毛」を発見します。
このような逆パターンの毛は、一度白髪になった毛が再色素化されなければつくられません。
興味をもった研究者はボランティアから頭髪をはじめとした様々な部分の毛を集め、詳細な分析をはじめました。

分析を行った結果、白髪化と色素化は何らかの因子によって、発生時期が連動していることがわかりました。
上の図では、白髪化、あるいは色素化している毛が、それぞれほぼ同じ時期に変化を開始したことを示しています。
また意外なことに、色素化は白髪化よりも早く進行することが示唆されました。
もし白髪化や色素化を体全体でコントロールする因子が発見できれば、白髪染めに頼らない、根本的な白髪治療薬ができる可能性があります。