強いストレスが「白髪」を増やすメカニズムを解明

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Credit:Pixbay
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  • ストレスにさらされたマウスは毛が白くなったが、それは色素の過剰放出と枯渇が原因だった
  • ストレスによるマウスの白髪化は回復不可能だが、白髪化自体を防止することは可能

フランス革命中に捕らわれた女王マリー・アントワネットの髪は、真っ白になったと言われています。

「強いストレスによって白髪になる」ことは一般的に広く知られていますが、これまで科学的な根拠は見出せないままでした。

しかし、ハーバード大学の科学者によって、ストレスによって白髪を増えるメカニズムが解明されました。研究によると、ストレスによって色素を過剰分泌し、枯渇してしまうことが原因のようです。

研究の詳細は「Nature」誌に掲載されました。

Hyperactivation of sympathetic nerves drives depletion of melanocyte stem cells
https://www.nature.com/articles/s41586-020-1935-3

ストレスによる白髪のメカニズム

a:通常の状態  b:ストレス状態/Credit:Nature

人間が若白髪になるように、マウスの体毛も年齢に関係なく白くなります。「ストレスと白髪化の関係性」を調べるために、マウス実験が行われました。

この実験では、マウスをストレス(痛み、拘束、心理的ストレス)にさらすことで白毛化を誘発し、その際の体内変化が観察されました。

実験の結果、ストレスと白毛化の因果関係が認められ、それに至るメカニズムが明らかになりました。

マウスに強いストレスがかかると、交感神経系がノルアドレナリンと呼ばれる化学物質を放出するようになります。通常、この働きによって血圧が上昇したり心拍数が上がったりし、体をストレスに対応できるようにします。

ノルアドレナリンは、色素幹細胞に作用することも分かりました。色素幹細胞は毛に色を与えるための役割を担っています。

今回の実験で、強いストレスが加わり続けることで色素幹細胞が過剰に反応し、色素を放出し続けることが判明しました。最終的に貯蔵庫の色素幹細胞が枯渇してしまい、毛に着色できなくなってしまうのです。

白髪になったら戻らない

Credit:WILLIAM A GONCALVES

ストレスにさらされたマウスは、ほんの数日で色素幹細胞のすべてが失われてしまいました。枯渇した色素幹細胞に回復の見込みはありません。人間も同様に強いストレスを受け続けるなら、若くして白髪になり、後戻りはできないと考えられます。

しかし、別の実験により、ストレスを受けてもマウスの白毛化を防ぐことにも成功しました。ストレスによって幹細胞が損傷してしまうのですが、この損傷の原因となるタンパク質(cyclin-dependent kinase)を抑制することで、毛色の変化を防げたのです。

マウスのストレス性白毛化防止を応用するなら、人間のストレス性白髪化を防止できるかもしれません。

加えて、今回の実験と結果は、老化による白髪化の問題にも新たな光を当てるものとなりました。これにより、解明すべき疑問が生まれています。「ストレスによる白髪化のメカニズムは、加齢による白髪化のメカニズムと同じなのか?」「加齢による白髪化を遅らせることができるか?」などです。

白髪化と防止策に対する研究は今後も続けられます。いずれ、人間の白髪防止薬が作られる日がくるかもしれません。

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reference: nature,interestingengineering / written by ナゾロジー編集部
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