プシケのクレーターと一致する組成は?
探査ミッションが実行される前にも入念な準備が必要です。事前にプシケについて知っておくことで、調査に必要なツールを備えておけるでしょう。
そのためコールドウェル氏によってプシケの3Dモデルが作成されました。
プシケにはクレーターが確認されており、これは物体が衝突したときにできたものです。そのため衝突時の挙動をシミュレーションすることで、衝突時の角度やプシケの組成を明らかにできるのです。
シミュレーションの結果、プシケは多孔質(小さな穴が多数ある状態)であり、その組成は合金「モネル」に非常に近いと判明。
モネルは主にニッケルと銅からなる合金であり、カナダの「サドベリー隕石孔」の鉱石をもとに作成されたものです。
サドベリー隕石孔は隕石衝突によってできた大きなクレーターであり、そこに残された鉱物は隕石から来たと考えられています。
つまりモネルは地球外を起源とする金属と同じ組成であり、この組成は小惑星プシケにも共通するというわけです。
実際にモネルで想定したインパクトシミュレーションは、プシケと同じクレーターを作りました。
これにより、プシケが降着段階(ガスや塵などが引力で衝突・合成することで天体形成していく段階)で崩壊した惑星コアの残骸である可能性が高くなりました。
プシケとほぼ同じ組成の金属が明らかになったので、将来の調査に向けてさまざまなテストが行えるでしょう。
この研究は「Icarus」に掲載されます。
Understanding Asteroid 16 Psyche’s composition through 3D impact crater modeling
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0019103520303304?dgcid=author#!