友人と「体を入れ替える」実験により、自己の性格が友人に似てくると判明。うつ病治療に応用できるかも

reference: zmescience
映画「君の名は」など、「体の入れ替わり」を題材とした作品は数多く存在しており、昔から人気の高いジャンルです。
スウェーデンカロリンスカ研究所の脳神経科学者パヴェル・タシコフスキー氏ら研究チームは、実際に体が入れ替わったと錯覚させる実験を行ない、その錯覚が人にどんな影響を与えるか調査しました。
その結果、「体の入れ替わり」が自己評価や記憶力に大きな影響を与えると判明。研究の詳細は8月26日付けで「iScience」に掲載されています。
この研究は自己を決定づけるものは何か? という疑問の解決や離人症などの精神疾患の治療に大きな影響を与えることになったのです。
目次
「入れ替わってる!?」と錯覚させる実験
タシコフスキー氏らは純粋な好奇心からだけでなく、離人症や統合失調症などの治療に役立つと考え、「体の入れ替わり」実験を行ないました。

実験では友人である2人が1セットとなり、片方の視覚や触覚をもう片方が得られるようにしています。
参加者は装着したゴーグルを通して友人視点のライブ映像を見せられました。また視覚と触覚が一致するように、同じタイミングで同じ体の部位に刺激を与えられました。
つまり、友人の体と入れ替わったように錯覚させられたのです。
結果として、入れ替わりの実験は成功しました。
例えば、研究者が友人を脅すためにナイフをかざすと、パートナーはまるで自分が脅されているかのようにたじろぎました。
また実験の中で、ある参加者は冗談交じりに「足の指を動かすのはやめて!」と叫びました。友人は自分の指を動かしていただけですが、まるで自分の指が勝手に動いているかのような錯覚に陥り、不快に感じたのですね。
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