「菌類」から革のような素材を作ることに成功!動物製の革の代用品として期待

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Credit:Alexander Bismarck
reference: phys

革は耐久性と柔軟性を兼ね備えた素材として服や靴、バッグなど日常生活の様々な場面で利用されており、同時に革の代替素材も生み出されてきました。

そして最近新しい代替革にも注目が集まっています。

オーストラリア・ウィーン大学化学部の材料化学者アレクサンダー・ビスマルク氏らが9月7日『nature sustainability』誌に掲載した研究によると、菌類由来の革に似た素材の開発に成功したとのこと。

この菌類から作られた代替革は環境に優しく倫理的な問題もないため、代替革としての大きな役割を果たす可能性を秘めています。

革そっくり!?菌類からつくるバイオマスシート

Credit:Alexander Bismarck

新しく作成された「革に似た素材」とは、真菌由来のバイオマス(有機性資源)シートです。

これは低コストの農林業副産物(おがくずなど)を再利用することで、菌類から生産できます。

農林業副産物は糸状菌(しじょうきん、管状の細胞から構成されている菌)の成長を促すための原料として利用されます。

そして数週間以内には菌類のバイオマスを収穫できるようになるのです。

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その後、菌類バイオマスはプレスや架橋(化学反応によるポリマー同士の連結)などの物理的・化学的プロセスを経て、シート状に形成されます。

ビスマルク氏によると、このようにして完成した菌類シートは革のような見た目をしており、革と同等の材料特性と触覚特性を示すとのこと。

革の代替品としての可能性

新しい菌類シートは、革の代替品としての大きな可能性を秘めています。

革は非常に有用で人気の高い素材ですが、それらは動物から得られるものであり、これまでに倫理的な問題があるとしてたびたび議論されてきました。

また代替品として活用されてきたポリ塩化ビニル(PVC)やポリウレタン(PU)などの合成皮革素材の製造は、化石燃料由来の化学物質に依存しています。そのためこれらは持続可能な素材ではありません。

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こうした背景にあって新しく作成された菌類シートは、カーボンニュートラル(排出されるCO2と吸収するCO2が同量)であり、生物分解可能です。

また菌類由来であるため持続的な生産も見込めます。

つまり環境的にも倫理的にも問題がなく、持続生産可能な代替革が見つかったことになるのです。

もちろん現時点での課題はあります。菌類シートは厚さや色、および機械的特性を均一にすることが難しく、研究者たちはこれからもこの課題に取り組んでいかなければいけません。

しかし、既に菌類バイオマスベースの代替革を生産している企業が増加してきています。

将来、菌類シートが代替革として普及する可能性は大いにあるでしょう。

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