近畿地方に”活火山がなくても”有馬温泉が湧く原因を解明!

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日本地図とプレート
日本地図とプレート / Credit:神戸大学
reference: 神戸大学

これまでの調査で、活火山は地表の岩盤(プレート)が沈み込む場所に作られると判明しています。そのため複数のプレート境界に位置する日本には多くの活火山が点在しています。

しかし、近畿地方だけは活火山が存在しておらず、その原因は謎でした。

ところが9月14日、日本・神戸大学海洋底深査センターの巽好幸(たつみ よしゆき)氏ら研究チームによって、その原因が若くて熱いプレートにあると「Scientific Reports」誌で報告されました。

近畿地方下の若くて熱いプレートは有馬温泉を作るために作用していたため、活火山をつくる余力が残っていなかったのです。

プレートと活火山の関係

世界中の活火山はプレートの境界に分布しています。

なぜなら「プレートの沈み込み」がマグマを作り出し、そのマグマが地表に噴出することで火山を形成するからです。

プレートの沈み込み
プレートの沈み込み / Credit:気象庁

プレートがもう片方のプレート下に沈み込むとき、その接点でマントル物質(岩石)を融解します。この融解は、プレートに含まれる水(高温流体)がマントル物質を構成する分子の隙間に入り込み結合を切断、「液体化」させることで生じています。

そして融解したマントル物質つまりマグマは上昇していき、活火山を形成するのです。

このようにプレートの境界では活火山が生まれるものであり、それゆえ日本は活火山大国となっています。

活火山と温泉の関係

活火山の存在は温泉とも大きく関係しています。

温泉は火山性温泉と非火山性温泉に分類できます。この火山性温泉はその名の通り、活火山によって生み出されるものです。

火山の仕組み
火山の仕組み / Credit:バスクリン

火山地帯周辺では地中にマグマが溜まっています。そして雨や雪からできた地下水がマグマによって温められるのです。

ちなみに、この温かい地下水にマグマのガス成分や岩石成分が溶解することにより、様々な成分を含んだ温泉へと変化します。

つまり活火山のある場所には温泉も存在することになります。日本が温泉大国である理由の1つがここにあるでしょう。

近畿地方だけ活火山が存在しないが、温泉は湧いている

プレートと活火山、温泉の関係性が明らかになると、日本の近畿地方は非常にユニークな場所だと分かります。

なぜなら近畿地方は、日本の他の場所と同じようにプレートの境界に面しているにもかかわらず、近畿地方だけ活火山が存在していないからです。

日本とプレート境界
日本とプレート境界 / Credit:神戸大学

太平洋プレートの境界に面している東日本には非常に多くの活火山が分布しています。

そして西日本も同様にフィリピン海プレートの境界に面しているため、多くの活火山が分布するはずです。実際、九州地方では10以上の活火山が密集していますね。

しかしなぜか中国・近畿地方だけ活火山が極端に少なく、近畿地方に限っては全く存在しません。

さらに不思議なことに、近畿地方には有名な有馬温泉が湧いているのです。

この長年の疑問を解決したのが神戸大学の研究チームです。

熱くて若いプレートが温泉を作り、活火山を阻止していた

研究チームは過去1400万年間のフィリピン海プレートの運動を再現することに成功しました。

これにより、現在の九州の下には5000万年以上前にできた古くて冷たいプレートがあり、中国・近畿地方には2500~1500万年前に誕生した若くて熱いプレートが沈み込んでいると判明。

プレートの温度のシミュレーション結果
プレートの温度のシミュレーション結果 / Credit:神戸大学

そしてさらにプレートの含水量や温度構造をシミュレートすることで、近畿地方に活火山が存在しない原因を突き止めたのです。

九州地方の下には古くて冷たいフィリピン海プレートが深く沈み込んでおり、これまで想定してきたプレートと活火山の関係を作ります。

プレートの動き
プレートの動き / Credit:神戸大学

しかし中国・近畿地方の下の若くて熱いプレートは深く沈み込んでマントル物質と作用する前に、プレートに含まれた水を放出してしまいます。

その結果、浅い部分に位置する近畿地方では、放出された水(高温流体)が直接温泉になっていたのです。

さらに近畿地方でほとんどのプレート含有水を放出するため、中国地方下まで沈んだときにはマントル物質と作用する水が残っていません。そのためマグマはほとんど生成されず、「なけなし」の活火山が2つできただけでした。

今回の研究で同じフィリピン海プレートでも、その年齢と温度が異なるだけで活火山の生成に大きな違いを生じさせていると初めて分かったのです。

さて活火山が少ない中国・近畿地方ですが、過去200~300万年間に活動していた小型の火山は点在しているようです。研究チームは今後、今回の結果を活かし、このような火山の成因解明に取り組む予定です。

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