魚は外部からの調整されることなく、秩序だった群れの動きを実現している。
魚は外部からの調整されることなく、秩序だった群れの動きを実現している。 / Credit:canva
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不思議な群れの動きを「魚ロボット」で再現成功!カメラとLEDだけで魚群ができる仕組みの解明に挑む

2021.08.27 Friday

2021.01.15 Friday

数百匹もの魚の群れが、まるで1つの生き物のように泳ぐ姿は誰が見ても圧巻の一言です。

外部から制御されているわけでもないのに、なぜ彼らは個々の判断によってあのような統制の取れた動きを取ることができるのでしょう?

1月13日に科学雑誌『Science Robotics』に掲載された新しい研究は、LEDとカメラをつけただけの単純な仕組みの魚ロボットで、群れの動きを再現することに成功したと報告しています。

この研究は、魚たちがどうやって群れの動きを制御しているかを解明する、重要な知見になると考えられます。

>参照元はこちら(英文)

Harvard University https://www.seas.harvard.edu/news/2021/01/robotic-swarm-swims-school-fish , inverse https://www.inverse.com/innovation/robot-fish-collective-intelligence

通信しない単純な魚ロボット

昆虫や魚など、群れで秩序だった集団行動を行う生物はどうやってその動きを統制しているのでしょうか?

これはロボット工学者にとって、非常に魅力的な研究テーマであり、彼らはぜひともその動きをロボットによって再現したいと考えています

こうしたテーマはスワームロボティクス(Swarm Robotics)と呼ばれていて、昆虫などに見られる陸の生き物については、ある程度成功を収めています。

しかし、水中でこの現象を再現することは非常に困難であると言われていました。

陸は2次元空間の動きですが、水中や空中の場合は3次元空間の動きになります。これを外部からの制御を受けずに、自立したロボットの群れで再現することは、飛躍的に難しくなるのです。

それは言い換えれば、魚たちがどうやって集団行動を実現しているかについてもまだ良くわかっていないということです。

ハーバード大学のロボット工学者による研究チームは、この問題について、魚たちは非常に単純なしくみだけを使って協調行動を行っているのではないかと考えました。

そこで彼らは視覚センサー(カメラ)2つと、LEDライト3つだけを組み合わせた、単純な魚ロボット「ブルーボット(Bluebot)」を開発しました

LEDとカメラによる魚ロボット「ブルーボット」。
LEDとカメラによる魚ロボット「ブルーボット」。 / Credit:Self-organizing Systems Research Group,Harvard University

このロボットは、胸びれ、背びれ、尾びれを模した可動部で泳ぎを制御し、外部からの制御などは受けていません。

しかし、このロボットは視覚内に仲間の青いLEDのを検出するとアルゴリズムに従って、隣接する仲間との距離・方向を決定し、仲間と動きを同期させることができたのです。

この方法に基づいて、研究者たちはこのロボットに集合、分散、円形成などの複雑な組織的挙動を取らせることにも成功しました。

実際研究チームは、この魚ロボットたちの取った群れの動きを動画で公開しています。

その見事な挙動を見ていきましょう。

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