金星探査機あかつきの撮影した金星。
金星探査機あかつきの撮影した金星。 / Credit: JAXA/ISAS/DARTS/Damia Bouic
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金星大気に検出された生命の兆候「ホスフィン」はただの二酸化硫黄だった

2021.09.17 Friday

2021.01.28 Thursday

University of Washington https://www.washington.edu/news/2021/01/27/phosphine-venus-so2/?utm_source=UW%20News&utm_medium=tile&utm_campaign=UW%20NEWS
Claimed detection of PH3 in the clouds of Venus is consistent with mesospheric SO2 https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/abde47/meta

昨年、金星の高層にある雲から、生物によって生成される可能性の高い化学物質ホスフィンが検出されたという研究が話題になりました。

この発見は金星の過酷な環境でも、生命が存在する可能性を示すものです。

しかし、1月25日にプレプリントサーバー『arXiv』で発表された新しい研究は、再検証の結果、このデータが二酸化硫黄であり、ホスフィンではなかった可能性を報告しています。

この研究は、NASA、ジョージア工科大学、ワシントン大学などの科学者によるチームから発表されており、科学雑誌『The Astronomical Journal』の査読も通過しているとのことです。

(情報追記:2021年2月23日に論文は『The Astronomical Journal』に掲載されました)

金星の大気中に「生命の痕跡」を発見!微生物が生成する”ホスフィン”が検出される – ナゾロジー

ホスフィンは検出できていなかった?

金星大気から検出されたホスフィン。
金星大気から検出されたホスフィン。 / Credit:ESO/M. Kornmesser/L. Calçada & NASA/JPL/Caltech

金星は地獄のような環境と表現されるように、表面は高温高圧で、酸性の大気に覆われた惑星です。

しかし、惑星としてはもっとも地球に近いとも言われていて、特に50km上層の大気は、太陽系の中でももっとも地球の気温、大気圧に近い環境だと考えられています。

そのため、金星の高層にある雲の中には、生命(なんらかの微生物)が存在するかもしれないと期待が寄せられているのです。

そんな中で2020年9月に報告されたのが、金星高層の大気中で検出されたホスフィンの存在です。

ホスフィンは、地球上で嫌気性(酸素を嫌う)の微生物が生成する物質として見つかります。

ついに金星上層大気で生命の兆候を掴んだかもしれない、ということで、ホスフィンの検出は話題となったのです。

しかし、多くの科学チームがこの検出については疑問を投げかけていました。

なんだか夢のない意見のようにも思えますが、科学者にとってはこれはとても良いことです。

性急な結論は出さず、まずは疑ってかかり、事実かどうか検証することこそ科学が発展する仕組みであり、新しい発見を論文として世界へ広く発表する意義でもあります。

新たな研究によると、ホスフィンとして検出されていたものは二酸化硫黄だったと述べています。

「この検証は対立仮説と一致しています。二酸化硫黄は金星大気中で3番目にありふれた化合物であり、生命の兆候と見なすことはできません

今回の研究チームの1人、ワシントン大学ビクトリア・メドウズ教授はそのように説明しています。

一体なぜ、過去の報告は誤りだと考えられるのでしょうか?

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