苦労話や生まれの貧しさをアピールする人には注意が必要
苦労話や生まれの貧しさをアピールする人には注意が必要 / Credit:Canva
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偉そうにする人ほど、若い頃の苦労や貧しさを誇張する傾向がよくある

2021.02.04 Thursday

Deflecting Privilege: Class Identity and the Intergenerational Self https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0038038520982225

一部の御年輩の方々が語る苦労話には、注意が必要かもしれません。

1月17日に『SAGE jounals』に掲載された論文によれば、一部の高い地位にいる人は「若い頃の苦労」や「生まれの貧乏さ」を、ほぼ嘘のレベルまで誇張する傾向があるとのこと。

魅力のない上司から聴かされる苦労話ほど退屈なものはありませんが、嘘の可能性まであるとすると聴き手の苦痛はより一層高まりそうです。

しかしどうして彼らは、自分の過去に嘘をついてしまうのでしょうか?

自分の人生がハードモードだとアピールする成功者たち

イージーモードで人生をクリアしてきた人ほど自分の人生はハードモードだったと嘘をつく
イージーモードで人生をクリアしてきた人ほど自分の人生はハードモードだったと嘘をつく / Credit:Canva

研究の契機となったのは、よく有名人や大企業の経営者たちなどが語る、自分史に対する違和感でした。

成功者として紹介された一定数の人々は、両親が既にリッチであるにもかかわらず、自分の人生が「困難に満ちた不利な状態」からはじまったと語っていたからです。

そこで今回、研究者たちは、この奇妙な事実誤認の正体を調べることにしました。

語られた嘘が、その場しのぎのものではなく、もっと大きな、人間の本質にかかわる問題だと考えたからです。

調査にあたっては大企業の社長や幹部、有名人など175人の「成功者」たちに対して、巧妙に仕組まれたインタビューを行い、自分の歴史を語らせました。

すると175人のうち24人(14%)は、親がリッチであったにもかかわらず、自分の生まれを貧困層や労働者階級だと答えました。これは明らかな嘘です。

また12人(7%)は自分の生まれが恵まれていることは否定しないものの、異常なまでに先祖の苦労を強調し、それを自分の苦労のように語るという、不可解な論理(家族史を自分史にする)を展開しました。

この結果は、少なくない成功者(約5人に1人)が、人生の出発地点をハードモードに偽装していたことを示します。

しかし、なぜ彼らはリッチな環境で育った事実を隠したのでしょうか?

次ページ偽装は実力不足を隠すためだった

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