人間の目が3つナノに対して、シャコの目は16の光受容体を持つ。
人間の目が3つナノに対して、シャコの目は16の光受容体を持つ。 / Credit: Diver Ken,Flickr
biology

シャコの目にインスパイアされた超高性能カメラが開発される シャコは「偏光」を感知する特殊な生き物

2021.03.05 Friday

2021.03.04 Thursday

Mantis shrimp inspires new breed of light sensors(eurekalert) https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/ncsu-msi030121.php
Mantis shrimp–inspired organic photodetector for simultaneous hyperspectral and polarimetric imaging https://advances.sciencemag.org/content/7/10/eabe3196

人間の目は赤、青、緑という3つの光受容体によってものを見ています。

しかし、シャコの目はなんと16の光受容体を持っていて、可視光外の光の他に円偏光も検出でき、片目だけで立体視を行うことさえ可能です。

3月3日に科学雑誌『Science Advances』で発表された新しい研究は、そんな特殊なシャコの目を参考にして、ハイパースペクトルセンサーや偏光測定の機能を持ったスマホにも搭載できる新しい光学センサーの開発について報告しています。

シャコは特異な能力を数々備えた生物として有名ですが、その目も最新のカメラに応用できる可能性があるようです。

偏光測定とハイパースペクトルイメージングの機能

最近はAIのサポートによって、カメラで撮影するだけでさまざまな情報を取得分析できるようになってきました。

ハイパースペクトルイメージング(イメージ分)は可視光をさらに細かい帯域に分解できる技術で、これは映したものの化学組成を分析することができます。

ハイパースペクトルセンサーで見ると、同じ白い粉でもその違いが識別できる。
ハイパースペクトルセンサーで見ると、同じ白い粉でもその違いが識別できる。 / Credit:Japan EBA,Youtube

偏光測定では、光の振動する方向を調べることで、映したものの角度や、つるつるしているのかざらざらしているのかといった表面の質感を調べることができます。

偏光測定技術。映したものの角度などの情報が取得できる。
偏光測定技術。映したものの角度などの情報が取得できる。 / Credit:東京都立産業技術研究センター

どれも面白い技術ですが、現在このような特殊な撮影を行うには、かなりかさばるカメラを使わなければなりません

こうした光学センサーをより使い勝手の良い機材となるよう、スマートフォンにも収まるくらい小型化させるというのは、大きな技術的課題になっているのです。

しかし、実は人間には開発できていなくても、すでにこれらの機能を備えた小型の光学センサーが世の中には存在しています。

それが、寿司ネタにもされる甲殻類シャコの目です。

ハエと同じような複眼のシャコの目は、光受容細胞のクラスターとなっている。
ハエと同じような複眼のシャコの目は、光受容細胞のクラスターとなっている。 / Credit: Diver Ken,Flickr

驚くべきことにシャコの目には16もの光受容体があり、紫外線まで見える他、円偏光を検出することができる唯一の既知の生物です。

この能力によって、シャコはそれぞれの目を独立して動かしても、片方の目だけで奥行きを認識することができます。

そこでノースカロライナ州立大学などの研究チームは、このシャコの目を参考にして新しい光学センサーを開発したのです。

このセンサーはSIMPOL(Stomatopod Inspired Multispectral and POLarizationsensitive)と名付けられています。Stomatopodaというのはシャコ目の学名です。まんま「シャコ目にインスパイアされた光学センサー」という名称になります。

現在スマートフォンに搭載されるカメラは、赤、緑、青を検出する3つのスペクトルセンサーしかありません。SIMPOLセンサーは、4つのスペクトルセンサーと、3つの偏光センサーを同時に備えています。

A~Dはシャコの目の構造。E,FはSIMPOLセンサーの構造を示す。
A~Dはシャコの目の構造。E,FはSIMPOLセンサーの構造を示す。 / Credit:Ali Altaqui et al.,Science Advances(2021)

これはハイパースペクトル画像と偏光画像を同時に撮影できる小型センサーを作成できることを示しています。

SIMPOLは、通常の画像センサーよりも10倍狭いスペクトルの特徴を識別できる、と研究者は語っています。

現在のところ、このセンサーは概念実証の段階に過ぎませんが、研究者はモデリングシミュレーションを使って、最大15の空間的に登録されたスペクトルチャネルを検出できる光学センサーが開発できると確認しているといいます。

シャコがベースとなって研究者や技術者が使うような、高機能な光学センサーを搭載したスマートフォンもいずれ登場するのかもしれません。

そうなると、スマホだけで個人が科学捜査まがいのことも、できてしまうかもしれませんね。

【編集注 2020.03.05 08:00】
記事内容に一部誤りがあったため、修正して再送しております。
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