「化石化した森」と「他の大陸の森林」には共通点があった!南極は植物の中継地点だった!?
研究チームが発表した論文では、シーモア島(南極半島の東側)で採取したさまざまな葉の化石について説明されました。
これら葉の化石の存在は、暁新世後期(約5800万年前から5600万年前)に高緯度地域に広大な森林が生育していた証拠だと言えます。
そして今回調査された葉の化石は、従来の調査結果とは対照的に、多様性に富んでいました。
針葉樹や広葉樹、常緑樹、落葉樹が混在していたのです。これはこの地域が冷温帯から暖温帯だったことを表しています。
現在、南極の化石化した森ともっとも近い特徴を持っているのが南米パタゴニア南部の森林であり、当時の状況を知る助けとなります。
また現在のオーストラリア特有の植物の多く(ユーカリなど)は、暁新世後期の南米で生育していたと分かっています。
つまり、南米、南極、オーストラリアにはそれぞれ植物生態系の共通点があるのです。これらはゴンドワナ大陸時代の名残だと考えられるでしょう。
これらの分析結果から、研究チームは、暁新世に南極大陸を介して多くの種の交換や移動が行われていたと主張。
古代の南極が南米とオーストラリアの植物中継地点として機能していたと判明したのです。
今後研究チームは更なる調査と分析によって、過去の気候・生態系をモデル化し、将来の気候予測に役立てる予定です。