集団競技における位置取りの作戦は定量化できるのか?
集団競技における位置取りの作戦は定量化できるのか? / © Cygames, Inc.
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自転車競技における位置取り作戦の定量化に成功 ~逃げと先行の駆け引き~

2021.05.16 Sunday

自転車競技における集団秩序の定量化に成功 ~繰り返される駆け引きと離合集散~ https://research-er.jp/articles/view/98928
State transitions among groups of cyclists in cycling points races https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17461391.2021.1905077

曖昧な物事を数量で表現する「定量化」は、スポーツ科学において大切な指標となります。

最近、名古屋大学大学院・教育発達科学研究科に所属する奥村 文浩氏ら研究チームは、自転車競技における集団秩序の定量化に成功しました。

これにより、勝利につながる適切な位置取りとタイミングが判断しやすくなります

研究の結果は、4月18日付けの科学誌『European Journal of Sports Science』に掲載されています。

スポーツの定量化と自転車競技への適用

科学の話を聞いているとよく耳にする「定量化」という単語。

これは曖昧なニュアンスで表現していたものを、きちんとした数値で表すことを意味しています。

科学的に物事を分析する場合、この定量化は非常に重要な作業です。

近年、スポーツの世界でも情報が定量化された科学的分析が増えてきました。

例えば、「100m走者はどんな体型がベストか?」という疑問に対して、多くの人は「スレンダーかつ筋肉質」「重すぎてもだめだが、十分な筋肉が必要」となんとなく回答できます。

しかし、身長と筋肉量の関係を定量化して、「歴代のオリンピック決勝に残った180~185cmの走者のうち、70%以上が〇〇kgの筋肉量を持っていた」と答えるほうが明確で参考になります。

このようにスポーツにおける定量化は、結果向上のための信頼できる情報を生み出すのです。

自転車競技「ポイントレース」
自転車競技「ポイントレース」 / Credit:Depositphotos

そして今回、定量化の対象となったのが、自転車競技の1つ「ポイントレース」です。

ポイントレースとは、自転車でトラックを数十分にわたり周回しつづける競技であり、規定の周回ごとに順位に応じたポイントが与えられます。

そして、最後に一番でゴールした人ではなく、合計ポイントの高い人が優勝します。

自転車競技では空気抵抗の影響を強く受けるため、常に先頭を維持するのではなく、他選手の後ろに下がって体力を温存することも大切です。

しかし、どこかのタイミングで先頭を走らなければ勝利できません。

つまり協力しあって体力を温存する集団行動と、先頭を狙う分離の駆け引きこそが、ポイントレースの醍醐味なのです。

そして今回、研究チームは「集団」と「分離」の割合を時間経過ごとに定量化することに成功しました

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