UNSWのニーラジ・シャルマ氏とヘレン・メイナード氏
UNSWのニーラジ・シャルマ氏とヘレン・メイナード氏 / Credit:ANSTO News(Youtube)_Advanced material has zero thermal expansion(2021)
chemistry

−269〜1126℃の間で「熱膨張ゼロの新素材」が偶然発見される (2/2)

2021.06.15 Tuesday

前ページ-269〜1126℃の間で熱膨張しない新材料

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熱膨張ゼロの材料は、航空宇宙工学や医療インプラントに役立つかも!

新材料は航空宇宙工学に役立つかもしれない
新材料は航空宇宙工学に役立つかもしれない / Credit:Depositphotos

通常、材料は温度の上昇に応じて膨張します。

それは温度の上昇が、原子結合の長さの増加に直結するからです。

さらに温度上昇が原子を回転させ、構造が変化する場合もあります。

ところが新しい材料では、温度が上昇しても「結合」「酸素原子の位置」「原子配列の回転」にはわずかな変化しか見られません。

研究チームによると、この熱安定性の正確なメカニズムは完全には解明されていないとのこと。

しかし、「おそらく結合の長さ、角度、酸素原子の位置が互いに協調して変化し、全体の体積を維持している」と予測しています。

この新しい材料は、将来的に航空宇宙工学の分野で役立つかもしれません。

スペースシャトルは打ち上げ時や大気圏再突入時、また宇宙空間で極度の熱と寒さにさらされるため、熱膨張ゼロの材料が大きな助けになるのです。

また医療用インプラントのように、温度変化の範囲は少ないものの、わずかな熱膨張で重大な問題を引き起こすケースでも重宝されます。

現在、「Sc 1.5 Al 0.5 W 3 O 12」は、さらなる研究が進められており、大規模製造に向けた製造方法やコスト削減法が検討されています。

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