マサイ族は「間違い電話」で友人を作る?
マサイ族は「間違い電話」で友人を作る? / Credit: Timothy D. Baird/Virginia Tech(2021)
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マサイ族は「間違い電話」を利用して、友人やビジネスパートナーを作っていた (2/2)

2021.07.06 Tuesday

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具体的なメリットとは?

まず、マサイ族にとって社会的ネットワークは非常に重要です。

保険や医療扶助のような社会的セーフティネットがない場合、人とのつながり大きな助けになります。

たとえば、広いサバンナで放牧を行う牧畜民は、他の地域の天候や飼料の質、家畜の状態に関心を持っています。

各地域がつながっていれば、一方の地域が干ばつの時に、自分たちの家畜をもう一方の地域に預けておけるのです。

これは違法行為なのですが、実際に間違い電話でできた友人が家畜を自分のものだと偽ってくれたおかげで、干ばつを乗り越えられたマサイ族の方もいました。

あるいは、一夫多妻制のマサイ族では、間違い電話で息子のお嫁さんを見つけることもあるという。

調査では、間違い電話を通じて結婚したという男性が二人いました。

電話で広げる人との繋がり
電話で広げる人との繋がり / Credit: Timothy D. Baird/Virginia Tech(2021)

まだソーシャルメディアが浸透し切っていないマサイ族は、階級や職業、地理的条件によって、出会いが制限されます。

その中で、間違い電話は、友人やビジネスパートナーを見つける貴重なツールとなっているのです。

先進諸国では電子機器を使った犯罪や詐欺も多く、知らない番号の電話は人々の不安を煽ります。

一方でマサイ族には、知らない他人の電話に出る不安や恐怖心はなく、つねに新しい出会いを期待しながら電話に出ます。

電子機器のあるべき姿は、マサイ族の社会にこそあるのかもしれません。

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