どうして天の川銀河が「渦巻銀河」だとわかるの?

space 2018/07/08

人間にとって天の川銀河の姿を突き止めようとする活動は、細菌が地球の姿を突き止めようとすることに等しく、私たちがそれを見分けるための観測点に立つことは不可能。なぜならそれは、銀河の外側にあるからです。

最も高名な天文学者であるエドワード・ハッブルは、銀河の基本構造を4タイプに落とし込みました。それは、渦巻き銀河、楕円銀河、レンズ状銀河と不規則銀河です。私たちのアパートの窓から、詳細に観察することで近所の家のいくつかをモデル化したとしても、たどりたいのは私たちの住むアパート自体なのです。

現在天の川銀河は、ひまわりの種の並びのような、渦巻き状であることを強く示唆する証拠があります。では、それらは一体どのように発見されたのでしょうか?今回は天の川銀河が「渦巻き銀河」だとわかる証拠について、紹介していきます。

星の円盤

最初の証拠は、暗い夜の空に浮かんだ星星を単純に眺めることで発見されました。大気汚染のない地域では、天の川銀河は裸眼で観察できます。この美しい風景を楽しむとき、観察者は暗闇の中の狭い範囲に伸びて並んだ光る星星に気づくでしょう。

この並んだバンドの間には膨らみがあり、バンドの両側にはみ出しています。こういった細長い領域に詰め込まれた星々という出で立ちによって、私たちが見ているのが横向きの円盤であることがわかります。天の川銀河は中央が膨らんだ平らな円盤として存在しているのです。最初、研究者にはそれは信じられなかったといいます。どの方向を眺めようとも、星を見つけられるように思われたのです。

しかし、何百もの場所から星の地図を作ると、この円盤ははっきり見えるようになります。20世紀に、天文学者ヤコブス・カプタインは、他の何人かの天文学者の手を借りて、600の異なる場所からそれを行いました。同時に、天の川銀河の高精度なパノラマを作るために星空の写真を撮っています。

Credit: University of Massachusetts & Center/California Institute of Technology / ヤコブスの地図

ヤコブスの地図では、星が集中している弧がはっきりと見えます。現在天文学者たちはこの弧の角度を15度まで狭めています。また、赤外線で銀河の写真を撮る2MASS探査で撮られた写真の中でも、この円盤は明らかです。

銀河が異なった形であった場合、星の並びもまた大きく異なったものとなっていたでしょう。例えば、天の川銀河が球形だった場合、星とその光は全天に散らばっており、柱状に限定されていないでしょう。一方、楕円銀河であったなら、その平面の上か下かにいることとなり、空は片方の面がもう一方より明るいというふうに分断されるでしょう。

回転速度

私たちの銀河が渦巻状であることを示す他の証拠は、銀河を構成している星々の動き方です。その位置を特定し速度を測ると、そのベクトルにランダムではない回転成分を含むことがわかります。これは、渦巻銀河の特徴です。

太陽のような恒星は、重力によって非常に濃い水素ガスが核融合を起こすことで生まれます。水素の塵や瓦斯の残存物は、超新星爆発で撒き散らされます。これらの雲が光と相互作用すると、光子をランダムに散乱させ、星の傍に揺らめくシミを生み出します。これらのシミを探すことで、星の位置を特定でき、目印として使えます。

これらのシミを特定した天文学者たちは、星星が中央の明るい膨らみから飛び出した渦の枝に集中していることを発見しました。これらの渦は渦巻銀河の「腕」として参照されます。さらなる75年間の研究で、電波、赤外線、X線望遠鏡を使ってその存在は確認され、その回転する雲は10万光年の長さを持ち、1000光年の厚さをもっていることがわかりました。この超巨大円盤の上に太陽系は、中央から伸びた腕の2万5千光年の内側の縁にあります。

この大雑把な地図は、GAIA衛星による銀河系の詳しい観察データによって古いものとなるでしょう。天の川銀河の10億もの恒星と惑星間ダストなどのあらゆる物質が明らかにされます。現在GAIAによって得られたデータで様々な研究がなされています。

銀河の腕が発見されると、渦の数が2つか4つかを巡っての議論が長らくされていました。その解決を見たのはNASAのWISEによって、腕の数が4つであることが確認されたときです。じょうぎ・はくちょう腕、いて腕、たて・みなみじゅうじ腕、ペルセウス腕と呼ばれる4つです。さらに、天の川銀河はただの渦巻銀河ではありません。棒渦巻銀河です。腕が伸びている中心は円ではなく、銀河の中心に横たわる長方形の短い2端の辺です。

ダックテスト

私たちの銀河の形を決定できる3つ目の簡単な方法は、ダックテストを引き合いに出すことです。量子物理学者が最初に数学的に存在が予言されていた新たな量子を発見しました。その量子は検出が難しく、存在時間が短いので最も精巧な検出器でも捕らえられなかったほどです。

物理学者がやったのは、その量子が逃れた後の量子の効果、痕跡の研究です。もし痕跡が数学で予測されたのと同じ様に現れたとすれば、それは彼らが探している量子に違いありません。この手の理論的思考法を風変わりに述べたのが「ある鳥が鴨のように見え、鴨のように泳ぎ、鴨のように鳴くならば、それはたぶん鴨である」というダックテストです。

同様に、研究者達は他の渦巻銀河の特性を研究しており、塵の含有量や星の並びと速度などがわかっています。それと私たちの銀河で発見されたことを比較するのです。一見、その発見は双子の見た目のようにそっくりです。平たい円盤、ガスの摩擦、色と塵の含有量は、すべての渦巻銀河が共有している特徴と一致します。

しかし、まだ納得の行かない人たちにとって、他の、最もわかりやすい方法は、人工衛星を光の速度で銀河の外まで飛ばすことです。その人工衛星は暗闇でうろうろする天の川銀河の素敵な写真をおさめることができるでしょう。そして渦巻状であることに懐疑的な人たちもついには納得するでしょう。

残念なことに、その人工衛星が銀河の外に出るまでには1万年かかるうえ、撮った写真が我々に届くまでに更に1万年掛かります。なので、あなたがレストランで注文した食事が遅いと憤慨するなら、本当の忍耐力というものがここで試されることになります。

 

via:Science ABC/ translated & text by SENPAI

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