がん細胞だけを殺す「毒入りRNA」も可能
がん細胞だけを殺す「毒入りRNA」も可能 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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狙った細胞に「自分を殺す毒」を作らせるRNA技術が登場 (3/3)

2021.11.02 Tuesday

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「狙う細胞」と「生産させたいタンパク質」は自由に選べる

「狙う細胞」と「生産させたいタンパク質」は自由に選べる
「狙う細胞」と「生産させたいタンパク質」は自由に選べる / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

今回の研究により「狙った細胞」に「生産させたいタンパク質」を生産させる複合RNAの基礎システムを開発することに成功しました。

複合RNAの配列を変更することでトリガーとなるmRNAと「生産させたいタンパク質」は自在に変更可能です。

今回の研究では、ジカウイルスと新型コロナウイルスのmRNAに反応する複合RNAのテストが行われ、それぞれのウイルスに感染した細胞のみで蛍光タンパク質を作らせることにも成功しています。

重要なことは、複合RNAをDNAに変換することが可能という点があげられます。

RNAよりも遥かに安定して存在できるDNAの形で細胞に導入することができれば、狙った細胞で複合RNAを持続的に生産可能となります。

さらに「狙う細胞」に脳を含む各臓器の細胞、「生産させたいタンパク質」に幹細胞化を促す因子にした場合、事故や手術、アルツハイマー病などで失った細胞を増産させることが可能になり、再生医療の実現も可能になります。

一方で、汎用性の高い技術は悪用の恐れもあります。

「狙う細胞」に特定民族の生殖細胞を、「生産させたいタンパク質」に生殖細胞を殺す素を選び、感染力の強いウイルスの遺伝子に組み込むことで、原理的には、特定の民族のみを不妊化させる生物兵器が可能になるからです。

汎用的なRNA技術という大きな力を、人類は上手く使いこなせるのでしょうか?

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