東欧の勢力図を変えた「グルンヴァルトの戦い」とは
グルンヴァルトの戦い(または、タンネンベルクの戦い)は、1410年7月15日に、ポーランド北部で勃発した戦争です。
小国だったポーランド王国とリトアニア大公国の連合軍が、ドイツ騎士団を破った歴史的な一戦として知られます。
当時のドイツ騎士団は十字軍で活躍し、キリスト教布教のため周辺国を攻め入っていた強国でした。
両軍合わせて推定6万6000人が戦闘に参加し、ポーランド・リトアニア軍は約2000〜5000人が死亡し、ドイツ軍は8000人が死亡、1万4000人が捕虜になったと記録されています。
これは中世ヨーロッパにおける最大級の一戦であり、また、東欧史の転機となった戦いでした。
奇跡的に勝利したポーランド・リトアニアは互いの絆をより強め、反対に、敗れたドイツ軍は主力の騎士たちをことごとく失い、衰退の道をたどります。
これにより、東欧の勢力図が2世紀にわたりガラッと変わってしまったのです。
ポーランドのグルンヴァルト村では現在も、この大勝利を称え、毎年7月になると、数千人が集まって歴史的一戦を再現する祭りが催されています。
その傍ら、ポーランド当局は2018年から、同国北部のオルシュティンで、グルンヴァルトの戦いの遺物を発掘する大規模プロジェクトを開始していました。
その中で今年、先の武具セットがアマチュアの金属探知家により発見されたのです。
これらの遺物は14〜15世紀の変わり目に作られたもので、約600年間、土中にあったことを考えると、かなり良好な状態であることが伺えます。
剣は現在、グルンヴァルトの戦い記念博物館(Museum of the Grunwald Battlefield)に保管、研究されています。
館長のシモン・ドレイ氏は「非常に貴重な武具であるため、当時、誰も持ち去らなかったのが不思議です。
遺物はセットで発見されたため、所有者の遺体を発見できる可能性もあり、現地での調査も続けて行きたい」と話しています。