存在しないはず? 「不可能図形」が実体化された謎を追え!

philosophy 2017/10/30

 

不可能図形をご存知でしょうか。

一種の錯視によって、立方体にみえても実際には立体化できない図形のことです。

有名なものに、ペンローズという数学者が生み出した「ペンローズの階段」があります。

ペンローズの階段 / Credit:Wikipedia

上記の画像をよく見てください。「永遠に上り、もしくは下り続けなければいけない」ことに気付くと思います。これは二次元の歪みのパラドックスを利用した、三次元では表現不可能な図形なのです。

そんな二次元にしか存在しない図形ですが、人は「不可能」とか「二次元から出てこない」とかいわれると、不可能を可能にする生き物なのかもしれません。

今回はそんな情熱にあふれた人々を見ながら、ぜひみんなも彼らの仕掛けを考えてみてください。

エッシャーの階段

2013年、ネット民をザワつかせる「ありえない」映像がアップされました。
その名も「エッシャーの階段(The Escherian Stairwell)」。ロチェスター工科大学の学生が不可能図形をつくったと、海外のネット民はこぞってその謎解きの虜となりました。

エッシャーとは「視覚の魔術師」とも称されるオランダの画家マウリッツ・エッシャーのことで、先程の「ペンローズの階段」から着想を得たもの。左回りなら下り続け、右回りなら上り続けるという実際にはありえないこの図形を、彼はいかにして作成したのでしょうか

Escher's stair
Credit:Wikipedia エッシャーの階段

現れたのは一人の男性。こちらを挑発するかのように、振り返りながら階段を上ると……

あら不思議。

階段を上に上っていったはずの男性が、間髪いれずに下の階段から現れました。
一体これはどういうからくりなのでしょうか。もしや本当に実現不可能な図形が実体化してしまったのでしょうか。

もちろんそんなはずはなく、どうやら錯視やカメラ編集を使ったフェイク映像だそうです。少し残念な気持ちはありますが、ここでは終わりません。実はその映像手法は、いまだに明かされていないのです。

ネット上では映像に「腕が半分切れた男の子が映っている」ことが話題となり、少なからず映像は編集されていることが伺えます。

こちらの3D「エッシャーの階段」のように、斜めに配置すれば実現可能性はあります。しかしそんな私たちをあざわらうように、水を持って歩く姿が実験映像内にあり、エッシャーの階段の制作手法はいまだ謎に包まれているのでした。

ペンローズの三角形

そんな謎だらけの不可能図形ですが、手がかりは他の図形にも隠されているようです
これはレゴで「ペンローズの図形」を作成したもの。

Credit: brothers-brick
Credit: ingeniumetars.blogspot

これももちろん、不可能図形を再現できているわけではありません。その種明かしが下記画像です。

おわかりいただけたでしょうか。つまり、奥のレゴは実は全くつながっておらず、ある角度からでしか「ペンローズの三角形」たりえないのです。

映画『インセプション』のワンシーンにも、同じようなトリックが使われています。

一見不可能図形が実体化されたようにみえますが、カメラの角度を変えると……

この通り、断崖絶壁になっています。

そして同じようなトリックを使った不可能図形は、まだ他にもありました。

エッシャーの滝

先程のレゴ「ペンローズの図形」を更に複雑にすると、なんと「永久機関」まで作成できたりするのです

こちらの男性が模型に水をやると、みるみる上部に「水が上って」いき、滝が落ち続ける永久機関が出来上がります。しかし当たり前ですが、水が上に上るはずはありませんね。類似の例を解説したものをみると、実際はこのようになっていると思われます。

Credit: bluediary2

緑色を含む前の塔と、黄色の部分を含む後ろの塔はつながっていません。よってピンク色の部分も実は離れているのです。

そうすると、動画の滝も一つの模型にみえるのはこの角度だけであり、実はそれぞれ離れた位置にあると考えられます。

このように、不可能図形を実体化するのは不可能ですが、「実体化しているように見せる」ことは可能なのです。

そして実は弊サイト「ナゾロジー」のロゴも、先述の「ペンローズの三角形」という不可能図形だったりします。

ぜひ1番上までスクロールして、「見えないもの」「ありえないもの」を見ながら、「エッシャーの階段」の謎に思いを巡らせてみてください。

 

これどうなってるの? 「視覚の魔術師」エッシャーのだまし絵がオンラインで公開!

 

text by maxim

 

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