若い太陽型星「りゅう座EK星」で、スーパーフレアの発生に伴い巨大なフィラメント噴出が起こる様子の想像図
若い太陽型星「りゅう座EK星」で、スーパーフレアの発生に伴い巨大なフィラメント噴出が起こる様子の想像図 / Credit:国立天文台
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太陽型星から宇宙災害「スーパーフレア」の詳しい様子を初検出 太陽系でも発生する恐れ

2021.12.10 Friday

太陽型星のスーパーフレアから噴出する巨大フィラメントを初検出 —昔の、そして今の惑星環境や文明に与える脅威— https://www.nao.ac.jp/news/science/2021/20211210-okayama.html A young, sun-like star may hold warnings for life on Earth https://www.colorado.edu/today/2021/12/09/ek-draconis
Probable detection of an eruptive filament from a superflare on a solar-type star https://www.nature.com/articles/s41550-021-01532-8

スーパーフレアや、それに伴うコロナ質量放出(CME)と呼ばれる現象は、太陽表面で発生する爆発・噴火現象であり、太陽嵐という地球にも大きな被害を及ぼす大災害を引き起こします。

現在のところ、私たちの太陽でスーパーフレアが観測されたことはありませんが、この潜在的に危険な自然現象は、太陽とよく似た星を監視することで研究が進めています。

そして今回、日本の国立天文台や米国コロラド大学などの研究チームが、若い頃の太陽によく似た星「りゅう座EK星(EK Draconis)」から、スーパーフレアに伴って巨大なフィラメントが噴出する様子捉えることに成功しました。

太陽型星でスーパーフレアの可視光線による分光観測がされるのは初めてのことであり、その規模は太陽で起こった史上最大級の質量放出の10倍以上だったとのこと。

これは私たちの太陽でも発生する可能性があるといいます。

研究の詳細は、2021年12月9日付で科学雑誌『Nature Astronomy』に掲載されています。

 

宇宙の危険な自然災害「スーパーフレア」

太陽の周囲には、コロナと呼ばれるプラズマの大気が存在しています。

これは太陽表面から離れた、外側の大気ですが、太陽の強い磁場に拘束されて、閉じ込められた状態になっています。

しかし、太陽の表面で「フレア」と呼ばれる爆発噴火が起こったとき、この磁場の一部が解かれて、閉じ込められていたコロナの一部が宇宙空間へ放出されます。

これをコロナ質量放出(CME)といい、このとき有害な放射線とともに10億トン近い太陽物質が時速数百万キロという速度で周辺の惑星まで飛んできます

2000年に撮影された太陽のコロナ質量放出。このときは10億トンもの粒子が宇宙に舞い上げられた。
2000年に撮影された太陽のコロナ質量放出。このときは10億トンもの粒子が宇宙に舞い上げられた。 / Credit: SOHO ESA & NASA

これが地球を直撃した場合、人工衛星だけでなく、地表の電子機器や送電網、通信インフラにまで壊滅的な打撃を受けることになります。

これは「太陽嵐」としても知られている大災害です。

そしてこの現象の中でも特に大規模で危険なものを「スーパーフレア」と呼びます。これがもし私たちの太陽で起きた際、人類が何の対策もしていなければ、地球の人類文明は壊滅する可能性が高いと考えられています。

当然、そんなスーパーフレアは、人類史上では、まだ一度も太陽から観測されたことはありません

ただ、太陽以外の恒星では時たま観測されている現象で、私たちの太陽でも今後絶対起こらないという保証はありません。

スーパーフレアはいわば富士山の噴火などと同じように、現在は長い休眠期間にあるだけで、いつ起こっても不思議のない大災害なのです。

そのため、天文学者はスーパーフレアについて、事前にもっと詳しく知っておきたいと考えています。

とはいえ、地震や火山噴火のようなローカルな災害と異なり、スーパーフレアは一度でも起きれば人類が壊滅するほどの大災害です。

私たちの太陽からそれを観測しようとしても、あまり意味はありません。

そこで、天文学者は、太陽によく似た星(太陽型星)からこれを観測しようと監視を行っています

太陽型星という種類を、もう少し厳密に表現するなら、「自転の遅いG型主系列星」という表現になります。

温度と明るさをもとに恒星を分類するHR図。太陽は図の中央右辺りに位置するG型主系列星で、中でも自転が遅い部類になる
温度と明るさをもとに恒星を分類するHR図。太陽は図の中央右辺りに位置するG型主系列星で、中でも自転が遅い部類になる / Credit:s-yamaga.jp

太陽は宇宙ではG型主系列星と呼ばれるタイプの天体グループに含まれ、自転周期が10日より長い、比較的自転の遅い星です。

他天体のスーパーフレアは、主に自転周期が10日以内の自転が早い星から見つかるものが多数を占めています。

つまり、私たちの太陽でも発生する可能性のあるスーパーフレアを調べようとした場合、観測対象は「自転の遅いG型主系列星」が望ましいということになるのです。

そこで、今回国立天文台などの研究グループは、この候補として最適な、若い頃の太陽によく似た星「りゅう座EK星(EK Draconis)」を長期間監視観測していたのです。

そして、太陽型星では初めてとなる、スーパーフレアの可視線での分光観測を成功させたのです。

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