1200万光年離れたケンタウルス座にあるブラックホールのジェット
1200万光年離れたケンタウルス座にあるブラックホールのジェット / Credit:Ben McKinley, ICRAR/Curtin and Connor Matherne, Louisiana State University
space
ASTRONOMERS CAPTURE BLACK HOLE ERUPTION SPANNING 16 TIMES THE FULL MOON IN THE SKY https://www.icrar.org/centaurus/
Multi-scale feedback and feeding in the closest radio galaxy Centaurus A https://www.nature.com/articles/s41550-021-01553-3

2022.01.04 Tuesday

満月の16倍の大きさで夜空に広がるブラックホールジェットの噴火

地球から約1200万光年離れた楕円銀河「ケンタウルス座A(Centaurus A)」の中心には、太陽の5500万倍という巨大な質量を持つブラックホールが存在しています。

これは地球にもっとも近い活発な活動を続ける超大質量ブラックホールです。

西オーストラリア州の奥地に設置されたマーチソン広視野アレイ(MWA)望遠鏡は、そんな巨大なブラックホールのジェットの全貌を撮影することに成功しました。

このブラックホールの噴火とも呼ぶべき炎は、地球の夜空で満月16個分に相当する範囲に広がっています。

研究の詳細は、2021年12月22日付で科学雑誌『Nature Astronomy』に掲載されています。

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地球からもっとも近い活発なブラックホールの噴火

チリのラシア天文台が撮影した楕円銀河ケンタウルス座A。総露出時間は50時間以上
チリのラシア天文台が撮影した楕円銀河ケンタウルス座A。総露出時間は50時間以上 / Credit:ESO

ブラックホールと一言でいっても、そのサイズや活動状態にはさまざまな違いがあります。

地球に一番近い超大質量ブラックホールは、天の川銀河の中心にある太陽質量の400万倍という「いて座A*」ですが、活発な活動はしていません。

では、地球にもっとも近い活発な活動をする超大質量ブラックホールは何かというと、それは1200万光年離れた位置にある楕円銀河「ケンタウルス座A(Centaurus A)」の中心ブラックホールです。

このブラックホールは、太陽質量の5500万倍という飛んでもない質量を持っていて、現在も活発に活動しています

ブラックホールの活動とは、物質を精力的に飲み込んで巨大なエネルギー放射を行っているかどうか、という意味です。

ブラックホールが活発に活動すると、飲み込んだ物質の一部を強力な磁場によって極方向へ噴射するジェットと呼ばれる現象を起こします。

これはほぼ光速の勢いで物質を飛ばし、数億年もの時間を掛けて何百万光年も広がる「電波の泡」を成長させていきます

それはまさにブラックホールの噴煙とでも呼ぶべきものです。

西オーストラリア州に設置されたマーチソン広視野アレイ(MWA)望遠鏡は、今回そんなケンタウルス座Aのブラックホールが放ったジェットの噴煙の全貌を撮影することに成功しました。

MWAの設置されている位置
MWAの設置されている位置 / Credit:Google

MWAは小さなアンテナを4✕4で設置したタイルと呼ばれるものを、数kmの範囲へ256個も設置した電波望遠鏡で、夜空の広い範囲を電波観測できます。

4✕4で設置されたアンテナ(タイル)を広範囲に配置することで機能する電波望遠鏡「MWA」。画像は256個あるタイルのうちの1つ。
4✕4で設置されたアンテナ(タイル)を広範囲に配置することで機能する電波望遠鏡「MWA」。画像は256個あるタイルのうちの1つ。 / Credit:Photographed by Pete Wheeler, ICRAR

以前の電波観測では、ブラックホールのジェットが電波波長ではあまりに明るすぎるため処理できず、詳細な画像を作ることに制限がありました。

しかし、新しい撮影画像は、これらの問題を克服したといいます。

それは銀河を超えてはるか遠くまで広がる、ジェットの炎を明らかにしています。

ケンタウルス座A中心ブラックホールのジェットが成長させた電波の泡
ケンタウルス座A中心ブラックホールのジェットが成長させた電波の泡 / Credit:Ben McKinley, ICRAR/Curtin and Connor Matherne, Louisiana State University

映し出されているの電波波長で撮影された、ブラックホールのジェットで飛ばされた物質の作る泡です。

これは数百万光年に渡って広がっていて、ブラックホールから強いエネルギーで吹き出された物質は、数億年を経ても強い電波源となっています

天体が夜空を占める大きさは、視野角度で表現されます。

この撮影された天体は、地球から見た場合でも夜空を8度に渡って広がっているといいます。

そう言われてもスケール感が湧かないかもしれませんが、これは満月に置き換えると16個分に相当します。

これはつまり、夜空を見上げたとき、こんなサイズで見えているということです。

満月と並べた場合の夜空におけるサイズ。
満月と並べた場合の夜空におけるサイズ。 / Credit:NASA/CXC/CfA/R.Kraft et al. (X-ray) – Ben McKinley, ICRAR/Curtin and Connor Matherne, Louisiana State University (radio).

もちろんこれは肉眼では見ることができず、優れた電波望遠鏡による電波観測でしか見れません。

しかし、地球から1200万光年も離れた天体が、こんなサイズで夜空に浮かんでいると考えると、それがどれだけ途方も無いものなのか想像できるでしょう。

今回の研究成果は、こうした夜空に広い視野で展開される天体の分析や研究を行うために役立てられていくといいます。

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