人間の脳は13歳から母親の声に対する反応が変わると判明:反抗期の脳科学
人間の脳は13歳から母親の声に対する反応が変わると判明:反抗期の脳科学 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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人間の脳は13歳から母親の声に対する反応が変わると判明:反抗期の脳科学

2022.04.29 Friday

Mom’s voice holds a special place in kids’ brains. That changes for teens https://www.sciencenews.org/article/mom-voice-kid-brain-teen-neuroscience
A neurodevelopmental shift in reward circuitry from mother’s to nonfamilial voices in adolescence https://www.jneurosci.org/content/early/2022/04/06/JNEUROSCI.2018-21.2022/tab-article-info

13歳になると脳の配線自体が変わってしまうようです。

米国スタンフォード大学(Stanford University)で行われた研究によれば、人間の脳は13歳前後になると母親の声よりも見知らぬ人の声のほうに、より魅力を感じるようになることが判明した、とのこと。

幼い子供は見知らぬ人よりも母親の声に対してより「快楽の回路」(報酬系)が活性化する一方で、13歳以降になると逆になっていました。

中学生くらいの子供が急に「親の言うことに注意を払わなくなる」という現象に多くの人々が悩まされていますが、どうやらその背景には脳の配線自体の変化があるようです。

人間の脳も動物のような「一人立ち」のシステムが存在していたのでしょうか?

研究内容の詳細は2022年4月28日に『Journal of Neuroscience』にて掲載されています。

人間の脳は13歳から母親の声に対する反応が変わると判明

12歳までの子供の脳は母親の声に報酬系が刺激され心地よく感じる
12歳までの子供の脳は母親の声に報酬系が刺激され心地よく感じる / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

13歳前後の子供には、思春期・反抗期・自我の発達など、親にとっては苦労を抱える変化が起こります。

幼い頃は「お母さん、お母さん」と甘えていた素直なイイ子が、ある日を境に言うことを聞かなくなり、反抗したり無視しはじめたり、ときには敵対的な態度をとるように変わってしまいます。

このような変化は、動物の世界で起こる「一人立ち」が人間にも起きている証拠だと考えられています。

動物は「一人立ち」の時期を迎えると親に対する興味を自然になくしていき、場合によっては親を生存する上でのライバルと認識するようになってしまいます。

しかし人間の「一人立ち」がどのような脳の変化に基づいて起こっているかは謎のままでした。

そこでスタンフォード大学の研究者たちは以前から、母親の声に対する子供の脳の反応を調べてきました。

すると興味深い事実が明らかになりました。

2016年に行われた研究では、母親の声は12歳以下の幼い子供の脳の快楽回路(報酬系)や注意力や感情にかかわる領域を強く活性化していることが判明します。

幼い子供がお母さんを好きな背景には、母親の声が子供の脳にとって心地よくて注意を引きやすく、さらに感情を刺激する「特別」なものだという事実があったのです。

母親の声は幼い子供たちにとって言葉を覚えたり危険を回避するにあたり必須な音源であるため、脳の配線自体が母親の声に特殊な反応をするように組まれていたのです。

また別の研究では、ストレスをかかえた女の子が電話で母親の声を聞くと、ストレスホルモンの数値が大きく下がることが報告されています。

ではこの母親の声に対する「特別さ」はいつまで続くものなのでしょうか?

人間も動物である以上、ある時期になれば「一人立ち」をしなければなりません。

そのタイミングもまた動物の巣立ちの時期のように本能的に刻まれているのか、それとも個人の経験や能力といったより複合的な要因によるものなのでしょうか?

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