「世界最古の義眼」とは一体?
「世界最古の義眼」とは一体? / Credit: Dr.Kaveh Farrokh – The World’s oldest known Artificial Eye
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世界最古の義眼は約4800年前に作られていた! それは未来を見通す”預言者の目”

2022.05.22 Sunday

World’s Oldest Fake Eye from 2800 BC Found in Iran’s ‘Burnt City’ https://www.ancient-origins.net/artifacts-other-artifacts/fake-eye-0016760 The World’s oldest known Artificial Eye https://www.kavehfarrokh.com/news/the-worlds-oldest-known-artificial-eye/
Artificial Eye in Burnt City and Theoretical Understanding of How Vision Works https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4449516/

「義眼」には、見た目を補う目的の他に、眼窩内の組織が成長しすぎるのを防いだり、包帯やアイパッチなしで目に異物が入るのを防ぐ大切な役割があります。

義眼は比較的新しい時代に開発されたと思われるかもしれませんが、実は、医学史上で最も古い起源を持つ器具の一つです。

医学的知識と技術の進歩により、現代の義眼は、本物と見分けがつかないほど精巧な作りになっていますが、では、現状「世界最古」とされる義眼は、いつどこで作られ、どんな形をしていたのでしょうか?

今回は発見された最古の義眼について、利用していた人物の素性に迫り解説していきます。

世界最古の義眼は約4800年前に作られていた!

信じられないかもしれませんが、世界最古の義眼は今から約4800年前にまで遡ります。

イランとイタリアの共同研究チームは2006年、イラン南東部にある青銅器時代の都市遺跡「シャフレ・ソフテ」にて、驚くべき遺骨を発見しました。

この遺骨の左眼窩に「半球状の義眼」がはめ込まれていたのです。

調査の結果、義眼をはめた遺骨は25〜30歳の女性で、亡くなったのは紀元前2800〜2900年の間と判明しています。

シャフレ・ソフテの都市自体は、紀元前3200年頃に建設され、その後何度も火災が発生し、街のほとんどが焼けていることから「焼けた都市(the Burnt City)」とも呼ばれます。

シャフレ・ソフテ遺跡の一部
シャフレ・ソフテ遺跡の一部 / Credit: ja.wikipedia

歴史学者らは1997年以来、同地での発掘調査を進めており、これまでに、サイコロゲームや大理石のカップ、装飾の施された革製品、脳外科手術を示す頭蓋骨などが見つかっています。

遺物の年代から、都市は紀元前2350年頃に放棄されたと考えられていますが、その原因が度重なる火災にあったかどうかはわかっていません。

左眼窩に義眼をはめた女性の遺骨
左眼窩に義眼をはめた女性の遺骨 / Credit: Dr.Kaveh Farrokh – The World’s oldest known Artificial Eye

女性の付けていた義眼は、天然のタールと動物の脂肪を混ぜたものであり、装着時は眼窩の中にしっかりと収まり、かつ耐久性にも優れていたと見られます。

半球状の義眼の両端には穴があけられており、そこに金糸を通して眼帯のように固定していたようです。

発見された当初は「埋葬時にはめ込まれただけではないか」との指摘もありましたが、眼窩の骨を顕微鏡で調べたところ、義眼の固定時にできる金糸による摩耗の跡が見つかりました。

そのため、女性は生前から義眼を装着していたと結論されています。

しかし一方で、義眼に付着していた「まぶた」の組織片や、頭蓋骨から見つかった組織片を分析した結果、まばたきによる義眼との擦れで、まぶたを膿み、その一部を失っていた可能性が高いようです。

では、この義眼を付けていた女性は、一体どんな人物だったのでしょうか?

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