もつれ状態を共有する
通常の量子テレポーテーションではもつれ状態の光子の移動に限界があり、あまりに離れた2点間で通信することができませんでした。
そして、もつれ状態の光子は観測することが禁じられているので、コピーを作ることもできません。
損耗して消えそうな光子を、途中でコピーして新しく作り直し改めて送るというような、延伸方法使用できないのです。
そこで、今回の研究はもつれ状態の光子を中継点で新たに別の粒子ともつれさせるという方法を試したのです。
ここでは、アリスは遠く離れたチャーリーへ情報を送ることを目指します。
しかし、チャーリーのところまで直接もつれ状態の光子を送ることはできません。
そこで、間に入ったボブが、まずアリスから送られたもつれ状態の光子受け取り、その光子を新たな別の光子ともつれ状態にするのです。
そして、この新しいもつれ状態の粒子を、チャーリーへ送信します。
![アリスのもつれ光子をボブはチャーリーとの間でさらにもつれさせ、もつれ状態を共有する。アリスとチャーリーは直接隣接するノードではないにも関わらず量子テレポーテーションが成立する](https://nazology.net/wp-content/uploads/2022/05/cd1ac52f4e685cbc2e70e346094a5d40-900x521.jpg)
こうすることで、アリスとチャーリーは直接ノードとしてはつながっていないにも関わらず、中継点のボブを介した2リンクによって量子テレポーテーションを成立させることができたのです。
今回の研究は、実験によってこれらの手順を成功させたことが報告されています。
話としては単純に思えますが、成立させることは技術的に難しい問題です。
この成果を利用すれば、事実上非常に離れたノード間で量子テレポーテーションを実現できることになり、現在最大の問題となっているもつれ状態の光子が長距離を運べないという技術的なネックを解決させることができます。
もちろんまだ、完全に信頼性のある通信に成功できたわけではなく、さまざまな課題が残っていますが、専門家はこれが今後の量子テレポーテーションに関する重要なマイルストーンになるだろうと語っています。