Tレックスは温血、トリケラトプスは冷血だった?
Tレックスは温血、トリケラトプスは冷血だった? / Credit: J. Wiemann(YaleNews, 2022)
paleontology

残忍なハンターであるティラノサウルスの血は温かかったことが判明!

2022.05.27 Friday

「恐竜は温血か冷血か」という問題は、長年にわたり古生物学者を悩ませてきました。

しかしこのほど、米カリフォルニア工科大学(Caltech)の研究チームは、「代謝率」いう新たなアプローチで恐竜たちの体温を調査。

その結果、ティラノサウルスのような捕食恐竜は代謝率の高い「温血動物」であり、反対に、トリケラトプスやステゴサウルスは代謝率の低い「冷血動物」だった可能性が高いと判明しました。

残忍なハンターであるティラノサウルスも、体に流れる血は温かかったようです。

研究の詳細は、2022年5月25日付で科学雑誌『Nature』に掲載されています。

T. rex and its close relatives were warm-blooded like modern birds https://www.livescience.com/dinosaur-metabolism-warm-cold-blooded Hot-blooded T. rex and cold-blooded Stegosaurus: Chemical clues reveal dinosaur metabolism https://phys.org/news/2022-05-hot-blooded-rex-cold-blooded-stegosaurus-chemical.html
Fossil biomolecules reveal an avian metabolism in the ancestral dinosaur https://www.nature.com/articles/s41586-022-04770-6

代謝率で「温血or冷血」を見極める

代謝率から「温血」か「冷血」かを見極める
代謝率から「温血」か「冷血」かを見極める / Credit: canva

代謝というと「体型を維持しやすいかどうか」という観点で考える人が多いかもしれません。

しかし、研究主任のヤスミナ・ウィーマン(Jasmina Wiemann)氏いわく、「代謝の核心は、呼吸した酸素をいかに効率よく化学エネルギーに変換し、体の燃料とするか」であるという。

哺乳類鳥類など、代謝率の高い温血(恒温)動物は、一定の体温を保つために多くの酸素を取り込み、カロリーを消費し続けなければなりません

反対に、爬虫類魚類など、代謝率の低い冷血(変温)動物は、外気温に体温を依存するため、発熱の必要がなく、呼吸や食事量が少なく済みます

たとえば、トカゲは冬場になると、よく樹上から地面に落っこちて動かなくなります。

これは死んでいるわけではなく、血液が冷えすぎて、体が動かなくなるためです。

そのため、バスキング(日光浴)をして体を温めなければなりません。

バスキングをするトカゲ
バスキングをするトカゲ / Credit: canva

今回の研究チームは、恐竜の体温を調べる方法として、代謝率の基本的な特徴の一つである「酸素消費量」を調べるという今までにないアプローチをとりました。

まずチームは、恐竜・翼竜・水棲の首長竜・現生の鳥類、哺乳類、爬虫類など、55種類の動物の大腿骨を分析。

そして骨の中の呼吸に関連した代謝産物の量(=酸素消費量)を調べ、現生する動物たちの代謝率と比較しました。

このデータをもとに絶滅した恐竜たちの代謝率を推定した結果、恐竜はグループによって、温血と冷血のいずれかに分かれることが判明したのです。

次ページティラノサウルスは温血、トリケラトプスは冷血

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

古生物のニュースpaleontology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!