デタラメな情報に意味を見出す人は、創造力を過信しやすい
デタラメな情報に意味を見出す人は、創造力を過信しやすい / Credit: canva
psychology

デタラメな情報に意味を見出す人は、自分の「創造力」を過信しやすい!?

2022.06.28 Tuesday

2022.06.27 Monday

「ん?この数字の羅列はまさかっ!」

…なんてことが多々ある人は、注意が必要かもしれません。

このほど、米ユニオン大学(Union College)の新たな研究により、デタラメな情報への感受性が強い人、言いかえれば、意味のない文章や数字に深い意味を読み取ろうとする人は、自身の創造力について過大評価しやすいことが明らかにされました。

こうした傾向にある人は、メタ認知能力の低下を招いているかもしれません。

※ メタ認知能力:思考や知覚、感情といった自身の認知活動を客観的に評価し、コントロールする能力

研究の詳細は、2022年5月2日付で学術誌『Thinking & Reasoning』に掲載されています。

People who are more receptive to bullshit also tend to overestimate their creativity ability, study finds https://www.psypost.org/2022/06/people-who-are-more-receptive-to-bullshit-also-tend-to-overestimate-their-creativity-ability-study-finds-63373
Bullshit receptivity, problem solving, and metacognition: simply the BS, not better than all the rest https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/13546783.2022.2066724

この文章、深い?浅い?「デタラメさへの感受性」をテスト

世の中の一部の人達は、まったく意味をなさないデタラメな言葉の羅列に意味があるように感じてしまうようです。

日本では、最近だと「ラッスンゴレライ」みたいなものがわかり易い例でしょうか。

こうした問題について、研究筆頭著者のティム・ジョージ(Tim George)氏は、次のように話します。

「たとえば、”全体性は無限の現象を静める(wholeness quiets infinite phenomena)”という文章について考えてみてください。

一見すると、この文には何か深い意味があるように感じるかもしれません。

しかし、冷静に考えれば、この言葉の羅列は何の意味も伝えていないとわかるはずです。つまりただのデタラメ(Bullshit)です。

最近の研究では、こうしたデタラメな情報に対して、一部の人が深い意味を感じているとわかっています」

そこでジョージ氏と研究チームは、デタラメな情報への感受性(Bullshit receptivity)、つまりデタラメな情報に対して意味を感じるかどうかが、タスクの解決やアイデアを生み出す能力に何らかの影響を及ぼしているのではないかと考え、調査を開始しました。

日頃から、数字や文字列に意味を探そうとするクセがありますか?
日頃から、数字や文字列に意味を探そうとするクセがありますか? / Credit: canva

実験では、100人のボランティアを募り、いくつかの文章を読ませて、それぞれの文章からどの程度深い意味を感じるかを評価してもらいました。

例文には、「濡れた人は雨を恐れない(A wet person does not fear the rain)」という意味を持つものの中に、「未来は非合理的な事実を説明する(The future explains irrational facts)」というデタラメなものを混ぜ込んでいます。

次にボランティアは、「創造力」に関する2つのテストを行いました。

1つ目は、3つの単語が提示され、そのすべてに関連する4つ目の単語を答える連想テストで、これを12問行います。

そのうち、6問はちゃんと答えのある解答可能な問題ですが、他の6問は答えのない解答不能な問題に設定してあります。

2つ目は、2分間で”車のタイヤ”の新しい使い方を思いつく限り答える、という拡散的思考タスク(Alternate Uses Task)です。

※ 拡散的思考タスク(AUT):ある道具について全く別の使い途を提案することで、創造力の柔軟性を測るテスト

その答えは、3人の審査員によって、アイデアの創造性が評価されました。

また、各テストに挑戦する前に、ボランティアは「自分の創造力をどれほど発揮できる自信があるか」について、答えてもらいました。

さらにチームは、別の100人のボランティアを募り、同様のテストを行いましたが、ここでは「創造力」の代わりに、「言葉の類推能力」記憶の想起能力」を評価しています。

果たして、結果やいかに?

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