紙電池で目覚まし時計が動く
紙電池で目覚まし時計が動く / Credit:Gustav Nyström(EMPA)et al., Scientific Reports(2022)
chemistry
A paper battery with water switch https://www.empa.ch/web/s604/wasser-aktivierte-batterie Disposable printed paper battery, activated by water, may help reduce electronic waste https://www.abc.net.au/news/science/2022-07-29/battery-activated-by-water-made-of-paper/101274314 Water-activated paper battery may lead to greener disposable tech https://newatlas.com/electronics/water-activated-paper-battery/
Water activated disposable paper battery https://www.nature.com/articles/s41598-022-15900-5

2022.07.30 Saturday

インクと紙だけの電池が誕生! 水滴を垂らすだけで1.2V!

現在、病院外で利用する「使い捨ての検査デバイス」や、医薬品や食品などをセンサーで管理する「スマートパッケージング」が注目されています。

同時に、これらを稼働させるための「使い捨て小型電池」の需要も高まっています。

そこでスイス連邦材料試験研究所(EMPA)に所属するグスタフ・ニューストロン氏ら研究チームは、生分解性の紙電池を開発しました。

この紙電池は2滴の水を垂らすだけで電力を供給でき、目覚まし時計を動かすことにも成功しています。

研究の詳細は、2022年7月28日付の科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。

紙とインクでつくられた「紙電池」

電池の仕組みの例。画像はリチウムイオン電池
電池の仕組みの例。画像はリチウムイオン電池 / Credit:アイアール技術者教育研究所

電池は、正極または負極となる2種類の金属、電気の通り道である電解液、そして正極と負極の接触を防ぐセパレーターなどから成り立っています。

しかし従来の電池では、近年高まっている「使い捨て」の需要を十分に満たすことができていません。

そこでニューストロン氏ら研究チームは、「低コスト・高安全・低毒性」の新しいタイプの電池を開発することにしました。

彼らは、紙とインクに電池の成分を組み込むことで、使い捨ての条件を満たす「紙電池」を開発したのです。

紙とインクでつくられた紙電池
紙とインクでつくられた紙電池 / Credit:Gustav Nyström(EMPA)et al., Scientific Reports(2022)

まず、紙の片面には、正極として機能するグラファイトの粉末が含まれたインク(下図:Air cathode)が塗布されています。

そして裏面には、負極として機能する亜鉛の粉末が含まれたインク(下図:Zinc anode)が塗布されています。

また紙(下図:Paper membrane)には塩化ナトリウムが含まれており、ここに少量のを垂らすことで溶解液がつくられます。

水で活性化する紙電池の図
水で活性化する紙電池の図 / Credit:Gustav Nyström(EMPA)et al., Scientific Reports(2022)

つまり、金属粉末を含んだインクが正極・負極に、塩水が電解液に、さらに紙自体がセパレーターの役割を担うことで、印刷されただけの紙が電池として働くのです。

紙電池の両端と電子機器を電線でつなぐなら、従来の電池と同じように電力を供給してくれます。

では、この紙電池にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

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