宇宙を満たす神の粒子「ヒッグス粒子」とはなんなのか?
宇宙を満たす神の粒子「ヒッグス粒子」とはなんなのか? / Credit:©2019 Sony Interactive Entertainment Inc. Created and developed by KOJIMA PRODUCTIONS.
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物質なのに質量ゼロの光子の謎も説明!質量を生み出す「ヒッグス粒子」とは?

2024.04.10 Wednesday

2022.08.18 Thursday

CERN研究所のLHC(大型ハドロン衝突型加速器)が2012年に新たに発見した素粒子「ヒッグス粒子」。

この素粒子については、質量を生み出す「神の粒子」として物理に興味がない人でも耳にしたことがあるでしょう。

この粒子の説明を聞いたとき、「質量の起源となる素粒子が見つかったなら、それってつまり重力子が見つかったってことなの?」と勘違いした人もいるかもしれません。

しかし、重力を生み出す素粒子「重力子(グラビトン)」は今も未発見のままです。

質量の起源となる素粒子は、なぜ重力とは関係ないのでしょうか?

今回は質量を生み出すヒッグス粒子がどんな粒子なのかを解説するとともに、「質量と重力は何が違うのか?」「質量はどうやって生まれるのか?」という疑問について解説していきます。

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質量とは何か?物質なのに質量ゼロの光子の謎

物質がたくさん集まれば質量は大きくなる
物質がたくさん集まれば質量は大きくなる / Credit:Depositphotos

私たちはどんな物質であれ、どんどん大きくなって物質の量が多くなれば質量が大きくなることを知っています。

小さな子供より、お相撲さんのほうが質量は大きくなりますし、密度の小さいアルミより密度の大きい鉄(スチール)の方が、同じ大きさでも質量が大きくなります。

質量という単位を厳密に定義することは非常に難しい問題ですが、これは簡単に言ってしまえば、そこに含まれている物質がどれだけあるのかという量を示す値と言えます。

普通に暮らしている分には、質量とはこういう単純な理解で問題はありません。

しかし、物理学者たちは量子力学という世界を発見し、物質を作り出す最小単位の世界を覗き見るようになりました。

このとき問題になったのが、素粒子1つ1つの質量はどうやって決まっているのかという問題でした。

例えば原子は原子核に含まれる、陽子と中性子の数で重さが決まります。この陽子と中性子は、クォークと呼ばれる素粒子の集まりです。

そのためクォーク1つ1つには当然質量があります。

しかし、ここで問題となったのが同じ素粒子でも、質量がゼロというとんでもない存在がこの世界に存在することです。

それが子です。光子は質量を持ちません

光子は質量を持たない
光子は質量を持たない / Credit:canva

さきほど、質量は物質の量だという話をしましたが、では光子はこの世界に物質として存在しないのでしょうか?

当然そんなことはありません。

光子はたしかに物質としての存在を持っていて、粒子として観測すれば1つ2つと数えることができ、この世界でさまざまな仕事をすることができます。

では、なぜ光子は質量を持たないのでしょうか?

この問題に答えるためには、物質がこの世界に存在すればそこには自然と質量が生じるという考え方を捨て去らなければなりません。

質量には明らかになんらかの原因があり、その結果として生じていると考えられるのです。

量子論は当然、それが何らかの素粒子との相互作用によって生じると予測します。

そして発見されたその「何らかの素粒子」が、ヒッグス粒子なので。

つまり質量とはヒッグス粒子との相互作用で生じていたのです。

しかしそれは一体何を意味するのでしょうか? 一体この世で質量が生じるメカニズムとはどういうものなのでしょうか?

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