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質量ってなんなのか?

私たちはどんな物質であれ、どんどん大きくなって物質の量が多くなれば質量が大きくなることを知っています。
小さな子供より、お相撲さんのほうが質量は大きくなります。
密度の小さいアルミより、密度の大きい鉄(スチール)の方が、同じ大きさでも質量が大きくなることを知っています。
質量という単位を厳密に定義することは非常に難しい問題ですが、これは簡単に言ってしまえば、そこに含まれている物質がどれだけあるのかという量を示す値と言えます。
普通に暮らしている分には、質量についてはこういう単純な理解で問題はありません。
しかし、物理学者たちは量子力学という世界を発見し、物質を作り出す最小の単位となる世界を覗き見るようになりました。
このとき問題になったのが、素粒子1つ1つの質量はどうやって決まっているのかという問題でした。
例えば原子は原子核に含まれる、陽子と中性子の数で重さが決まります。この陽子と中性子は、クォークと呼ばれる素粒子の集まりです。
そのためクォーク1つ1つには当然質量があります。
しかし、同じ素粒子でも、質量がゼロというとんでもない存在がこの世界にいることがわかりました。
それが光子です。光子は質量を持ちません。

さきほど、質量は物質の量だという話をしましたが、では光子はこの世界に物質として存在しないのでしょうか?
当然そんなことはありません。
光子はたしかに物質としての存在を持っていて、粒子として観測して1つ2つと数えることもでき、この世界でさまざまな仕事をすることができます。
では、なぜ光子は質量を持たないのでしょうか?
ここからは物質がこの世界に存在すれば、そこには自然と質量が生じるという考え方は否定されます。
質量には明らかになんらかの原因があり、その結果として生じていると考えられるのです。
量子論は当然、それが何らかの素粒子との相互作用によって生じると予測します。
ではこの世で質量が生じるメカニズムとは一体どういうものなのでしょうか?
それが今回のメイン、「ヒッグス粒子」との相互作用なのです。