パブリック空間を可視化するソフトを無償公開
パブリック空間を可視化するソフトを無償公開 / Credit:本間 裕大(東京大学)_人々の交流が生まれるホットスポットをリアルタイムで可視化――ユーザーとデザイナーが協働しやすい空間設計ソフトウェアを無償公開――(2022)
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人々が交流しやすい「ホットスポット」を可視化するソフトウェアが無償公開

2022.09.30 Friday

建物内や都市において、人々の交流は広場や通路が重なる場所で生じやすいものです。

当然、建物や都市をデザインする段階でその点も考慮されます。

そして最近、東京大学・生産技術研究所に所属する本間 裕大氏ら研究チームは、人々が交流しやすいホットスポットを可視化するソフトウェア「Convex Space Visualizer」を無償公開しました。

デザイナーの感性や経験則に頼ることなく、瞬時に交流が生まれる場所を示してくれるのです。

研究の詳細は、2019年12月30日付の学術誌『日本建築学会計画系論文集』に掲載されています。

また2022年9月14日、「日本オペレーションズ・リサーチ学会秋季研究発表会」にて発表されました。

人々の交流が生まれるホットスポットをリアルタイムで可視化――ユーザーとデザイナーが協働しやすい空間設計ソフトウェアを無償公開―― https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/news/3974/
凸空間の列挙による建築空間の形態分析 https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/84/766/84_2545/_article/-char/ja

「パブリック空間」を意識した建築・都市デザイン

建築や都市のデザインにおいて、空間がどのように作用するか考慮することは非常に重要です。

例えば下画像のようなデザインでは、2種類の空間が生まれます。

「パブリックとプライベート」の空間特徴
「パブリックとプライベート」の空間特徴 / Credit:本間 裕大(東京大学)_人々の交流が生まれるホットスポットをリアルタイムで可視化――ユーザーとデザイナーが協働しやすい空間設計ソフトウェアを無償公開――(2022)

1つは「パブリック空間」と呼ばれ、人が集まりやすい場所です。

この空間では活発な交流が生まれやすく、ベンチなどを置くことでさらに活性化されます。

もつ1つは「プライベート空間」です。

こちらは人の交流が生まれにくい場所であり、静かで集中するのに適した場所だと言えます。

人が集まりづらいのでインテリアを置くのに適切であり、静かに休憩したい人のために一人用のイスを設置することもできます。

上画像のような比較的シンプルなデザインであれば、「パブリックとプライベート」の空間設計は比較的容易です。

しかし近年では、建築技術の向上により、複雑で多様な建築物や都市が増えています。

複雑でユニークなデザインが増加
複雑でユニークなデザインが増加 / Credit:Canva

熟練した空間デザイナーであれば、磨かれた感性や経験則によって適切な空間設計の認識が可能ですが、それだけではプロジェクトが完遂しません。

住宅のフロアレイアウト、インテリアデザイン、駅前や公園の活用方法などは、ユーザーとデザイナーが対話して協力しながら設計していくものなので、「デザイナーだけが理解していればよい」というものでもないのです。

そこで本間氏ら研究チームは、ユーザーにも理解しやすいように「人々の交流の生まれやすさ」を定量化・可視化するソフトウェアを開発することにしました。

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