ミクロ世界の最高峰を決める「ニコン顕微鏡コンテスト」の受賞作が決定!
ミクロ世界の最高峰を決める「ニコン顕微鏡コンテスト」の受賞作が決定! / Credit: Nikon Instruments Inc. – 2022 Nikon Small World in Motion Competition – First Place(youtube, 2022)
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‘Completely hypnotic’ donut of cell scaffolding swirls endlessly in mesmerizing new video https://www.livescience.com/mesmerizing-donut-microtubules-nikon-small-world Developing Zebrafish Embryo Wins The 12th Annual Nikon Small World in Motion Competition https://www.nikonsmallworld.com/news/developing-zebrafish-embryo-wins-the-12th-annual-nikon-small-world-in-motion-competition
2022 Small World in Motion Competition(Nikon) https://www.nikonsmallworld.com/galleries/2022-small-world-in-motion-competition

2022.09.24 Saturday

ミクロ世界の最高峰を決める「ニコン顕微鏡コンテスト」の受賞作が決定!

顕微鏡を用いて撮影された、最も芸術的かつ創造的な映像を決めるコンテスト「Nikon Small World in Motion」の受賞作品が発表されました。

同コンテストは、光学機器メーカー「ニコン(Nikon)」が毎年開催しており、今年で12回目となります。

先日、世界最高の「天文写真・オブ・ザ・イヤー」が発表されて、壮大な宇宙の美しさに圧倒されたばかりですが、今度は、微笑世界のめくるめくダイナミズムに酔いしれてください。

受賞作品の映像は、こちらの「2022 Small World in Motion Competition」にて一般公開されています。

 

顕微鏡で「微小世界のダイナミックな動き」を捉える

本年度の最優秀賞を受賞したのは、アルゼンチン・国立科学技術研究評議会(CONICET)のエドゥアルド・ザッタラ(Eduardo Zattara)氏が撮影した「ゼブラフィッシュ胚の側線細胞とメラノサイトの移動:Lateral line cells and melanocytes migrating in a zebrafish embryo」という作品です。

ゼブラフィッシュは、インドを原産とする体長5センチほどの小魚で、側線(Lateral line)とは、魚が水中で、水圧や水流の変化を感じとるための感覚器官を指し、エラの横から尻尾に沿って、まっすぐ伸びています。

メラノサイトは「色素細胞」のことで、ビデオ内では、オレンジ色の蛍光色で表現されています。

緑色で表現されているのは「外感覚器前駆細胞(Sensory Organ Precursor:SOP)」と呼ばれるもので、それが胚の中の側線に沿ってゆっくり移動しています。

完成したビデオは、計8時間のタイムラプス映像を17秒にまとめたものです。

メラノサイトもSOPも、胚の発生に合わせて所定の位置まで移動します。

ザッタラ氏は「この記録は非常に綺麗で、ほとんど後処理を必要としませんでした。これは、生物の発生過程における細胞移動のダイナミズムを示す驚くべき映像です」と述べています。

その結果、「私がこれまで撮影してきた顕微鏡映像の中で、群を抜いてお気に入りの作品になった」とのことです。

受賞作の第2位は、フランス国立科学研究センター(CNRS)のクリストフ・レテリエ(Christophe Leterrier)氏が撮影した「細胞膜とDNAを標識したサル培養細胞の12時間タイムラプス:12-hour time-lapse of cultured monkey cells labeled for plasma membrane (orange) and DNA (blue)」という作品です。

タイトル通り、培養したサル細胞において、細胞膜(オレンジで着色)とDNA(青で着色)がうごめく様子が捉えられています。

この映像を得るためには、12時間の撮影時間中、細胞を生きたまま維持し、適切な温度や湿度管理が必要だったとのことです。

第2位:サルの培養細胞のダイナミズム
第2位:サルの培養細胞のダイナミズム / Credit: 2022 Small World in Motion Competition(Nikon)

第3位は、米ミズーリ州にあるストワーズ医学研究所(Stowers Institute for Medical Reseach)のアフメト・カラブルト(Ahmet Karabulut)氏が撮影した「イソギンチャクの神経と刺胞が示す動的プロセス:Sea anemone neurons and stinging cells showing their dynamic processes」です。

刺胞とは、クラゲやイソギンチャクに特有の器官で、通常は袋状になっており、刺激を受けると、袋をひっくり返して毒針を出し、毒液を発射します。

紫で着色されているのが神経で、緑色で着色されているのが刺胞です。

第3位:イソギンチャクの神経と刺胞の動的プロセス
第3位:イソギンチャクの神経と刺胞の動的プロセス / Credit: 2022 Small World in Motion Competition(Nikon)

第4位は、米ヴァンダービルト大学医学部(Vanderbilt University School of Medicine)のディラン・バーネット(Dylan Burnette)氏が撮影した「死にゆくメラノーマ細胞:Dying melanoma cells」です。

メラノーマとは「悪性黒色腫」と呼ばれる皮膚がんの一種で、先ほど出てきたメラノサイト(色素細胞)が癌化して発症する悪性腫瘍です。

発症率には人種差があり、白人でかなり頻度が高いですが、日本人では、10万人に1〜2人とのこと。

映像では、メラノーマ細胞が弾けるように消失する様子が捉えられています。

第4位:メラノーマ細胞が死ぬ瞬間
第4位:メラノーマ細胞が死ぬ瞬間 / Credit: 2022 Small World in Motion Competition(Nikon)

第5位は、スペイン・バルセロナ大学(University of Barcelona)のイグナシ・ベレス=セロン(Ignasi Vélez-Ceron)氏が撮影した「環状チャネルに閉じ込められた感光性活性ネマチック層:Photosensitive active nematic layer confined in an annular channel」という作品です。

タイトルだけでは何のことかわかりませんが、こちらの映像は、細胞を形成する「微小管」が、限定された空間内でシンクロして動く様子を捉えたものです。

微小管は、細胞を構成するタンパク質で、普段は無秩序な動きをしていますが、環状の通路に限定させると、一斉に同期して動き始めたといいます。

セロン氏は「私は3年もの間、この環状システムにおける微小管の動きの研究に携わってきましたが、今回、この素晴らしい映像を捉えたとき、大いに歓喜し畏怖しました」と述べています。

第5位:環状チャネルの中に閉じ込められた「微小管」のシンクロニズム
第5位:環状チャネルの中に閉じ込められた「微小管」のシンクロニズム / Credit: 2022 Small World in Motion Competition(Nikon)

コンテストの審査員は、各作品について、独創性、情報量、技術的熟練度、視覚的インパクトから総合的に評価しました。

審査員の一人であるエリック・フレム(Eric Flem)氏は次のように述べています。

「今年の受賞作品は、画像処理技術の進歩に伴い、科学的な現象をより高い品質で、より鮮明に表現していました。

これらの作品は、科学の目覚ましい発展とトレンドを反映しているだけでなく、顕微鏡を通してのみ垣間見られる隠れた世界を、一般の方々に提供するものとなるでしょう」

上記の5作品の映像はすべて、「2022 Small World in Motion Competition」からご覧いただけます。

世界最高の「天文写真・オブ・ザ・イヤー」の受賞作品が決定!

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