新しい宇宙服のプロトタイプがが公開される
新しい宇宙服のプロトタイプがが公開される / Credit:Axiom Space,NASA
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実はロストテクノロジー化していた宇宙服!月面探査に向け40年ぶりに新型へ更新!

2023.03.17 Friday

実は宇宙服を新しく生産できない問題があったことをご存知でしょうか?

宇宙服は多層の生地を複雑に重ねて作られているため、機械で縫うことができずすべて手縫いで作られています。

ところがこの縫製技術が継承されていないため、現在宇宙服は新しく生産することができず40年以上も同じものを使い続けているのです。

しかしその状況もやっと打開されそうです。

NASAと民間の宇宙インフラ開発会社「アクシオム・スペース(Axiom Space)」は、月面着陸プロジェクト「アルテミスⅢ」で用いる新しい宇宙服のプロトタイプを公開しました。

約40年ぶりとなる新しい宇宙服には、最新の技術により高い機動性と保護機能が備わっています。

宇宙服の詳細は、2023年3月15日付のNASAのブログに掲載されています。

Spacesuit for NASA’s Artemis III Moon Surface Mission Debuts https://www.nasa.gov/feature/spacesuit-for-nasa-s-artemis-iii-moon-surface-mission-debuts NASA Reveals The Sleek New Suit Next Gen Moonwalkers Will Wear in Space https://www.sciencealert.com/nasa-reveals-the-sleek-new-suit-next-gen-moonwalkers-will-wear-in-space 1st Artemis spacesuits to be worn on the moon will not return to Earth https://www.space.com/axiom-space-axemu-artemis-3-spacesuits-fate

実はオーパーツ!?「40年以上も使い回されている宇宙服」

宇宙服は様々な素材でできた布地が何層にも重なっており、真空状態や熱、宇宙塵から人間を守ってくれます。

また生命維持装置によって二酸化炭素の除去と酸素の供給を行ったり、宇宙服内の温湿度を一定に保ったりします。

宇宙服(船外活動ユニット)の構造
宇宙服(船外活動ユニット)の構造 / Credit:JAXA

さらに通信のためヘッドセットやカメラ、ライトなども装備されており、長時間の作業に備えて飲料水バッグも収められます。

こうした宇宙服は、まさに「小さな宇宙船」であり、1着10億円以上もするようです。

そして実は、現在国際宇宙ステーション(ISS)の船外活動などで使われている宇宙服は40年以上前に作られたもので、新たに生産することができません。

これは多層の材料を複雑に重ねた宇宙服は手で縫うことしかできず、その縫製技術が継承されなかったためだといいます。

そのため当時NASAは宇宙服を寿命15年と想定して設計・生産しましたが、現在もそのうちの11着が設計寿命を大幅に越えた状態で未だに利用され続けています。(7着はチャレンジャー号とコロンビア号の事故で失われた)

もちろんNASAも新しい宇宙服の開発に取り組みましたが、宇宙服の設計は非常に複雑であり、また未来に想定される使用環境も不確定な部分が多かったことから難航していました。

アメリカ製の従来の宇宙服
アメリカ製の従来の宇宙服 / Credit:NASA(Wikipedia)_宇宙服

そこで彼らは民間企業の宇宙服を使用することにしました。

2022年9月には、有人月面探査ミッション「アルテミスⅢ」(2025年の予定)で使用する月面探査用の宇宙服を、宇宙インフラ開発会社「アクシオム・スペース」が提供すると発表。

人々は、「新しい宇宙服はどんなものだろうか?」と期待に胸を膨らませてきました。

そしてこの度、NASAとアクシオム・スペース社は、新しい宇宙服のプロトタイプを公開したのです。

次ページアクシオム・スペース社が開発した新しい宇宙服が発表

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