蚊に刺されない生地を開発
蚊に刺されない生地を開発 / Credit:Canva
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実はジーンズも貫通している!?蚊の針を通さない新しい生地を開発

2023.06.19 Monday

厄介な「蚊」は、服の上からでも血を吸ってきます。

蚊の針は、頑丈なデニム生地のジーンズでさえ貫通するのです。

そしてこの吸血行為によって、死に至る病気に感染することがあります。

アメリカのオーバーン大学(Auburn University)昆虫学・植物病理学部に所属するジョン・ベックマン氏ら研究チームは、蚊の針が貫通しない生地を開発しました。

編み方を改良することで、薄くて快適で、しかも蚊が吸血できない生地ができたのです。

研究の詳細は、2023年4月24日付でプレプリントリポジトリ『bioRxiv』で発表されました。

CNC Knitting Micro-Resolution Mosquito Bite Blocking Textiles https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.04.21.537869v2.full

蚊の針は繊維の隙間から人間の皮膚に到達する

デング熱、黄熱、ジカウイルス感染症、マラリアなど、蚊媒介感染症によって多くの人々が犠牲になっています。

マラリアだけでも毎年50万人以上(その多くは幼い子供)が亡くなっていることを考えると、蚊に刺されないための適切な対処は必須だと言えます。

蚊の口器サイズ。針は細長く、縫い目の隙間を通る
蚊の口器サイズ。針は細長く、縫い目の隙間を通る / Credit:John Beckmann(Auburn University)et al., bioRxiv(2023)

しかし蚊の針(口器)の長さは約2mmと大抵の生地の厚みを超えており、直径は約25μmと髪の毛(50~100μm)よりもはるかに細いです。

服は繊維を編んだものなので小さな隙間があり、細長い蚊の針は、この隙間から簡単に肌へ到達してしまいます。

ジーンズを含む市販の衣服のほとんどを貫通してしまうため、服を着ただけでは、蚊から完全に身を守ることはできないのです。

もちろん、蚊の針よりも分厚い服を着たり重ね着したりすれば刺されにくいですが、そのような対処法は蚊が繁殖する温暖な気候には適していません。

薄い衣服だと服の上から蚊に刺されてしまう
薄い衣服だと服の上から蚊に刺されてしまう / Credit:Canva

現状、暑さを我慢して厚着するか、蚊に刺されるのを許容して薄着するか、選ばなければいけないのです。

しかも近年登場した「汗や体温を発散し、ドライで快適な状態を保つ」体にフィットする特定の機能性衣類は、蚊が寄ってきやすく「全裸よりも蚊に刺されやすい」といった報告も上がっています。

そこでベックマン氏ら研究チームは、薄くても蚊の針を貫通しない衣類を開発することにしました。

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