蚊の針は繊維の隙間から人間の皮膚に到達する
デング熱、黄熱、ジカウイルス感染症、マラリアなど、蚊媒介感染症によって多くの人々が犠牲になっています。
マラリアだけでも毎年50万人以上(その多くは幼い子供)が亡くなっていることを考えると、蚊に刺されないための適切な対処は必須だと言えます。
![蚊の口器サイズ。針は細長く、縫い目の隙間を通る](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/05/F1.jpg)
しかし蚊の針(口器)の長さは約2mmと大抵の生地の厚みを超えており、直径は約25μmと髪の毛(50~100μm)よりもはるかに細いです。
服は繊維を編んだものなので小さな隙間があり、細長い蚊の針は、この隙間から簡単に肌へ到達してしまいます。
ジーンズを含む市販の衣服のほとんどを貫通してしまうため、服を着ただけでは、蚊から完全に身を守ることはできないのです。
もちろん、蚊の針よりも分厚い服を着たり重ね着したりすれば刺されにくいですが、そのような対処法は蚊が繁殖する温暖な気候には適していません。
![薄い衣服だと服の上から蚊に刺されてしまう](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/05/11d93f8f77638f2c2ceac5d0a8ad56dc-900x455.jpg)
現状、暑さを我慢して厚着するか、蚊に刺されるのを許容して薄着するか、選ばなければいけないのです。
しかも近年登場した「汗や体温を発散し、ドライで快適な状態を保つ」体にフィットする特定の機能性衣類は、蚊が寄ってきやすく「全裸よりも蚊に刺されやすい」といった報告も上がっています。
そこでベックマン氏ら研究チームは、薄くても蚊の針を貫通しない衣類を開発することにしました。