三角形なのに常に同じ幅で転がる「ルーローの三角形」
ここで利用されている理論が「ルーローの三角形」と呼ばる、正三角形の各辺を膨らませたような形状です。
(「ルーローの三角形」は曲線を持つため、正確には三角形ではありません。この記事では「ルーローの三角形」という名称から、ゴルディエフ氏が開発した自転車を「三角形自転車」と呼称します)
![ルーローの三角形の各頂点を中心に円を描くと対角の辺と重なる](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/05/800px-Construction_triangle_Reuleaux.svg_-628x600.png)
ルーローの三角形は、このように各頂点からコンパスで円を描くことで簡単に作ることが出来る図形です。
そしてこのようにして描かれたルーローの三角形は、転がしたときに常に幅が一定を保つ定幅図形と呼ばれる図形になるのです。
![定幅図形は転がしたとき常に一定の幅で転がる](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/05/8b842f4ed7df292c5417165a1164dcbb-900x300.png)
ただし、下の動画を見ると分かりますが、ルーローの三角形は高さが一定のまま転がることができますが、その際の重心(中心点)の位置は一定ではなくなります。
![ルーローの三角形。高さが一定のまま転がることができる](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/05/MyVideo_3-1.gif)
このため、単純に自転車の車輪をルーローの三角形に置き換えたとしても前進する度に車体ごと上下に動いてしまうのスムーズに移動することはできません。
そこでゴルディエフ氏は、車輪の上部が常に一定の高さを保つように押さえつける地面と平行なローラーを追加しました。
また各車輪の中心軸の部分を可動式にして、上下の動き(衝撃)を吸収できるようにしました。
![車輪上部のローラーと可動式のフレームにより、車体の上下動を低減。](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/05/FireShot-Capture-1285-who-said-wheels-have-to-be-round_-this-triangle-wheeled-bike-is-just_-www.designboom.com_.jpg)
これにより、平面の走行において車輪の高さが一定のまま、車体の上下動を最小限に抑えることに成功しました。
それでも三角形の車輪の回転は独特であり、動画を見る限りでは、乗り心地が良いものではなさそうです。
しかしゴルディエフ氏は、「三角形の車輪は快適です」と自信を持って紹介しており、実際に乗ってみると案外快適なのかもしれません。
普段使いは難しいですが、皆を驚かせてくれる楽しい発明だと言えるでしょう。
ゴルディエフ氏が生み出すユニークで遊び心に溢れる自転車を今後も楽しみにできます。