口を開けるジンベイザメ
口を開けるジンベイザメ / Credit:写真AC
biology

大きい海洋生物ほど、小さいプランクトンを食べる理由 (2/2)

2023.06.05 Monday

2023.06.03 Saturday

前ページプランクトンが主食であるからこそ、体が大きい

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泳ぐ「スピード」も、主食に関係している

動きが俊敏なイルカ
動きが俊敏なイルカ / Credit:フリー素材タウン

では、体が小さいイルカやシャチは、プランクトンで十分な栄養を摂取できないため、泣く泣く魚を食べているのでしょうか?

いえ、彼らには「スピード」という武器あるため、プランクトン以外の生物を狩ることができます。

そのため、プランクトンよりも大きな魚を狙うことができるため、それらを主食にしているのです。

一方で、シロナガスクジラの泳ぐスピードはどうでしょうか?

体が大きくなった分、彼らは俊敏な動きをすることができません。そのため、速く泳ぐ魚を狩るのは不得意としています。

捕まえるのが不得意な魚を主食としてしまったら、どうでしょう?

彼らは自分の大きな体を維持するためのエネルギーが十分に得られず、飢え死にしてしまうでしょう。

つまり、大きな海洋生物は俊敏な動きができないため、「プランクトンでないと、捕食できない」という理由もあるのです。

大きい動物、小さい動物の主食の比較

草を食べるゾウ
草を食べるゾウ / Credit:パブリックドメイン

「体の大きい生物ほど、個体数が多く、動かないものを主食としている」法則は、実は陸上でも同じです。

例えば、ライオン、チーター、ゾウ、サイ、スイギュウのうち体が大きいのはどの動物でしょう?

そうです、ゾウ、サイ、スイギュウなど後者の動物になります。

彼らは、草を主食とする草食動物なのです。体の大きなジンベエザメ等と同じように、量が豊富にあり、動きも少ないものを主食にしているということです。

一見、「体の大きな生物ほど、小さい生物を食べる」というのは効率が悪いように感じますが、むしろ身体が大きいと効率が良くなる食餌方法なのです。

単純に生物の身体のサイズと、食べているもののサイズだけを比較すると不思議な話に思えます。

しかし、その餌がどれだけ獲得しやすいか、そしてどうすれば効率よく食べられるか、という点に目を向ければ身体が大きいほどプランクトン食になるというのは不思議なことではなくなるのです。

【編集注 2023.06.04 22:30】
記事内容に一部誤りがあったため、修正して再送しております。
【編集注 2023.06.05 08:30】
記事内の一部文章表現を修正し、解説画像を追加しました。

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