人のブラシュコ線が目に見えるケースとは?
ヒトのブラシュコ線が可視化されるのは、何らかの遺伝子疾患によって皮膚が部分的に変色した状態で生まれる場合です。
生まれつきの遺伝的な色素異常が原因で、渦やパッチ、モザイク状の模様が皮膚に浮かび上がります。
例えば、実際の症例ではこのような形です。
![遺伝的な色素異常によって「ブラシュコ線」が現れたケース](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/06/17yoWomenWithWhosePigmentationFollowsBlaschkoLines-642x482-1.jpeg)
また模様のタイプによって以下の6つに分類されますが、最もよく観察されるのはType1aと1bです。
Type2〜5は極めて稀なケースで、症例報告もほとんどありません。
![画像](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/06/DiagramOfPatternsOfMosaicismInHumans-642x710-1-543x600.jpeg)
ただ、このType2〜5を生じさせる可能性がある例の一つが「キメラ」です。
キメラとは、1人の体に2種の異なる遺伝子セットが融合する珍しい現象で、ヒトでの発生率は10万人に1人とされています。
米カリフォルニア州在住で歌手やモデルとして活動するテイラー・ミュール(Taylor Muhl)さんは、2017年の診断で自身が「キメラ」であることが判明しました。
ミュールさんは生まれつき、腹部の半分が白色で、もう半分が赤色という稀な症状を持っています。
![左:ミュールさん本人、右:腹部が右と左で色が違う](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/06/45333646b5a068c47eb88358ca2d4b1d-900x600.jpg)
DNA検査の結果、彼女は母親の胎内で双子の姉妹と融合し、2つの異なるDNAが組み合わさって生まれていたことが判明したのです。
つまり、白色の皮膚と赤色の皮膚で遺伝情報が異なることを意味します。
それがおそらく、上のType2か5の模様として現れたのでしょう。
ミュールさんのようにキメラ症状として模様が現れることはほぼありません。
しかし、私たちでもホクロの多いラインや、あるいは何らかの皮膚症状が現れたときには、肌の奥に隠れているブラシュコ線の存在を感じられるかもしれません。
目には見えませんが、私たちの体にもヒョウやシマウマのような模様があるとは驚きですね。