使用済みコーヒーかすを混ぜるとコンクリートの強度がアップする!
使用済みコーヒーかすを混ぜるとコンクリートの強度がアップする! / Credit: canva
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使用済みコーヒーかすを使ってコンクリートの強度をアップする! (2/2)

2023.08.28 Monday

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コーヒーかすで耐久度が最大30%アップ!

チームはまず、豪メルボルン周辺にあるカフェから使用済みコーヒーかす(以下、SCGと表記)を回収し、実験室で完全乾燥(60°Cのオーブンで48時間)させて水分を取り除きました。

その後、SCGを酸素のない状態で350°Cまたは500°Cの2通りの温度で加熱処理し、バイオ炭を生成します。

次に「未加工のSCG」「350°Cで加熱したSCG」「500°Cで加熱したSCG」を細骨材(砂)の代替として、ポルトランドセメント(最も典型的なセメント)に配合し、コンクリートを作りました。

このとき、3種のSCGは5%、10%、15%、20%の体積割合で砂と置き換えられています。

上:焙煎前と後のコーヒー豆、下:乾燥させたSCGとバイオ炭
上:焙煎前と後のコーヒー豆、下:乾燥させたSCGとバイオ炭 / Credit: Carelle Mulawa-Richards, RMIT University(2023)

そして完成したコンクリートの圧縮強度(固体材料が壊れずに耐えられる圧力の限界)をテスト。

その結果、未加工のSCGと500°Cで加熱したSCGは置換レベルを増やすごとに、コンクリートの強度を弱めることが判明しました。

未加工のSCGは有機化合物が溶出してセメントの反応を阻害したこと、500°Cで加熱したSCGはバイオ炭が多孔質になりすぎたことが原因と見られています。

一方で、350°Cで加熱したSCGは5〜15%と置換レベルを増やすごとにコンクリートの強度が高まることが判明しました。

特に砂との置換レベルが15%のときに効果が最大化し、圧縮強度は29.3%も増加しています。

しかしそれ以上の置換レベルになると、強度が徐々に下がっていったとのことです。

RMITの研究チーム
RMITの研究チーム / Credit: Carelle Mulawa-Richards, RMIT University(2023)

試験はまだ初期段階だといいますが、チームは「コーヒーがどこにでもあることを踏まえると、世界中の建設材料にSCGが利用できる可能性がある」と述べました。

この技術が実用化されれば、SCGの埋め立てや天然砂の採集量を削減するとともに、環境保護や温暖化を緩和する役に立つと期待されます。

チームは次なるステップとして、SCGバイオ炭を工業レベルで生産するラインを整えながら、様々な業界と協力して、世界中での実用化を目指す予定です。

コーヒーかすは一般家庭からも得られるので、もしかしたら自宅をまわる回収屋さんも現れるかもしれませんね。

古代ローマのコンクリートにはひび割れを「自己修復」する機能があったと判明!

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