科学や医学の世界にも「アズレン」が存在します
科学や医学の世界にも「アズレン」が存在します / Credit:神奈川工科大学 – 色々変化で新技術への夢が広がる! アズレン誘導体の魅力(新物性化合物合成研究所 研究所長/教授 山口 淳一)(2023)/ナゾロジー編集部
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炎症の抑制や抗がん活性!科学が注目する「アズレン」の魅力!

2023.09.13 Wednesday

「アズレン」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。

そうですね。当然、縮合多環炭化水素ですね。

科学や医学の世界には「アズレン」という物質が存在し、非常に重要な役割を担っています

新物性化合物合成研究所所長の山口博士ら研究チームは、新しい化合物の作成に挑戦する中で、特にこの「アズレン」という物質に着目し、それを用いて新しい有機化合物を作り出す研究を行っています。

今回は新たな研究成果と共に、アズレンの持つ魅力について紹介していきます。

色々変化で新技術への夢が広がる! アズレン誘導体の魅力(新物性化合物合成研究所 研究所長/教授 山口 淳一) https://www.kait.jp/tech_news/2495.html

化合物「アズレン」とは?

アズレンは、10個の炭素原子と8個の水素原子からなる、C10H8の分子式を持つ炭化水素です。

似たような構造をもつ他の炭化水素としては、原油に含まれ、石油化学における基礎的化合物の1つであるベンゼンや、防虫剤で有名なナフタレンなどが挙げられます。

ベンゼンのような炭素が環になるように結合したものを炭素環と呼び、こうした環が1つの辺を共有して結合したものを縮合多環炭化水素と呼びます。

アズレンは縮合多環炭化水素の基礎成分35種の1つで、炭素環の炭素が7つと5つという異なるサイズでくっついたユニークな構造を持っています。

アズレンの分子式
アズレンの分子式 / Credit:神奈川工科大学 – 色々変化で新技術への夢が広がる! アズレン誘導体の魅力(新物性化合物合成研究所 研究所長/教授 山口 淳一)(2023)

アズレンの歴史は古く、その発見にはハーブの「カモミール」が関わってきます。

カモミールの花から得られる精油の蒸留は古くから行われており、15世紀にはその精油が鮮やかな青を示すことが知られていました。

そして1863年、イギリスの調香師がこの鮮やかな青い成分だけを単離(混合物の中から特定の成分や物質を取り出すこと)することに成功し、その物質に「アズレン」という名前をつけたのです。

炭化水素は通常無色か白色だがアズレンは鮮やかな青色をしている
炭化水素は通常無色か白色だがアズレンは鮮やかな青色をしている / Credit:神奈川工科大学 – 色々変化で新技術への夢が広がる! アズレン誘導体の魅力(新物性化合物合成研究所 研究所長/教授 山口 淳一)(2023)

名前の由来は、この鮮やかな青色に由来しており、スペイン語で青を意味する「azul(アズール)」から取られました。

語尾の「-ene」は化合物の命名規則によるもので、炭素の二重結合を含む場合に付けられ、縮合多環炭化水素の基礎成分は全て語尾に「-ene」がつけられています。

そのため「azul(アズール)」の語尾に「-ene」をつけて、アズレン(Azulene)という名前になったのです。

アズレンの合成は現在でも難しい技術であるため、単価は250mgで1万2000円程度(2023年9月現在)と比較的高価で取引されています。

アズレンはユニークな環状構造を持つことから、他の多くの環状炭化水素とは異なる特性を持っています。

このアズレンの基本構造を基にして生成される化合物を「アズレン誘導体」といいます。これらの誘導体は、アズレンの特徴的な構造を維持しつつ、異なる性質や機能を持つことができることで注目されています。

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