右腹に入ったナイフが臓器を傷つけず左腰まですり抜ける症例が報告される
右腹に入ったナイフが臓器を傷つけず左腰まですり抜ける症例が報告される / Credit: Shankarapur Hospital, Cureus(2023)
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折れた刃が体内にあるのに臓器が一切傷つかなかった「奇跡の男性」が医学誌に報告される! (2/2)

2023.09.21 Thursday

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臓器を傷つけずに剣で身体を貫いた奇術師「ミリン・ダヨ」

理論上、腹部に並ぶ臓器や血管の隙間をうまく通り抜けることができれば、ナイフが臓器を傷つけずに移動することは確かに不可能ではないかもしれません。

しかしそれはあくまで理屈であって、現実で起こり得るとはなかなか想像しがたいものがあります。

ところが、こうした事象を狙ってやってのけた驚くべき人物の記録が残っています。

それはかつてオランダに実在したミリン・ダヨ(Mirin Dajo:1912〜1948)という奇術師です。

彼は1945年から1947年にかけて、胴体のさまざまな部位に西洋の長剣を突き刺して貫通させるパフォーマンスを行いました。

普通に考えれば大変なことになりそうですが、剣を突き刺されたミリン・ダヨは死ぬどころか、出血多量や臓器の重傷さえ一切負うことがなかったのです。当然ながら剣を刺したように見せかけているだけの、何らかのトリックを疑う声が多く上がりました。

しかし1947年、ミリン・ダヨはスイス・チューリッヒ大学病院で医師たちを前にこのパフォーマンスを行い、さらに医師たちにレントゲン写真まで撮らせる公開検査を行ったのです。

このレントゲン写真を見る限り、確かに剣は真っ直ぐに身体を貫いています。

長剣を貫通させるミリン・ダヨ(左)公開検査で撮影されたレントゲン写真(右)
長剣を貫通させるミリン・ダヨ(左)公開検査で撮影されたレントゲン写真(右) / Credit: en.wikipedia

最終的に医師たちは、彼に剣が刺さっていることは事実であり、それに伴って「医学的に不可能な事象は起きていない」とする見解を示しました。

それによると、長剣を貫通させる際に心臓や肺、大動脈や大静脈の隙間を縫うように一定のスピードでゆっくり突き刺せば、臓器の損傷を避け、出血も防いだ状態で、身体を貫くことが可能なのだろうという。

(しかしその隙間を縫う方法は謎に包まれており、一説では事前に剣を通すピアスのような穴を開けていたという説もある)

ミリン・ダヨのパフォーマンス
ミリン・ダヨのパフォーマンス / Credit: en.wikipedia

もしかしたら今回の男性でも、ミリン・ダヨと同じようなことが体内で奇跡的に起きたのかもしれません。

男性は外科手術でナイフの刃を除去した後、特に追加の治療も必要なかったため、完全な回復を待って5日後には退院したといいます。

医学誌にも報告されるほどの驚くべき悪運の強さです。

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