江戸時代の風景
江戸時代の風景 / credit:小笠原玄(Ogasawara Gen) – ORADA
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「江戸時代の経済学」インフレの原因?貨幣と別に藩が独自に刷っていた藩札とは

2023.10.22 Sunday

江戸時代には小判や寛永通宝などといった様々な硬貨が発行されましたが、幕末の一時期を除き紙幣が発行されることはありませんでした。

しかしそれだけでは不都合をきたすようになり、一部の藩は幕府の許可を得て藩札を発行したのです。

果たして藩札とは何なのでしょうか?

本記事ではどうして各藩で藩札が刷られるようになったのか、またそれによって江戸時代の経済にどのような影響があったのかについて紹介します。

なおこの研究は、金融研究 第8巻第1号に詳細が書かれています。

金融研究 第8巻第1号 要約 藩札の果たした役割と問題点 (boj.or.jp) https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/kk8-1-5.html

慢性的な貨幣不足に陥っていた江戸時代

慶長小判、江戸幕府初期を代表する硬貨として知られている
慶長小判、江戸幕府初期を代表する硬貨として知られている / credit:wikipedia

江戸時代において、幕府は1601年の「金銀の制」と1636年の「銭定の高札」により、金・銀・銭の3貨(正貨)の鋳造権を独占しました。

しかし慢性的な通貨不足であり、日本全国で不都合をきたすようになったのです。

このため、諸藩は自領内の通貨不足を解消するため、幕府の許可を得て藩札を発行する動きを始めました

また一部の遠隔地の藩では許可を得ずに独自に発行するケースも見られました。

こうして江戸幕府成立後数十年で、貨幣制度は多様化し、地域ごとに異なる通貨が存在する時代となったのです。

次ページ江戸幕府も扱いに困った藩札

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