ノーベル賞授賞式会場であるストックホルム市庁舎
ノーベル賞授賞式会場であるストックホルム市庁舎 / credit:フォトAC
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「2023年ノーベル賞」受賞研究の内容を簡単に解説!分野を超えて広く実用化される研究たち (2/3)

2023.10.07 Saturday

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物理学賞:電子の動きを記録するアト秒パルスの光

2023 年の物理学賞受賞者。ピエール・アゴスティーニ氏(左)、フェレンツ・クラウス氏(中)、アンヌ・ルイエ氏(右)
2023 年の物理学賞受賞者。ピエール・アゴスティーニ氏(左)、フェレンツ・クラウス氏(中)、アンヌ・ルイエ氏(右) / credit:THE NOBEL PRIZE

物理学賞を受賞したのはアメリカ、オハイオ州立大学のピエール・アゴスティーニ氏とドイツ、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のフェレンツ・クラウス氏、およびスウェーデン、ルンド大学のアンヌ・ルイエ氏の3名です。

彼らは非常に短い時間だけ光を出す手法を確立し、これによって電子の運動やエネルギーを測定・記録できる新しい方法を生み出したとされています。

この研究は1987年にルイエ氏が希ガスに赤外線レーザーを当てることで、きわめて短い波長の光が発生することをみつけたことから始まりました。

2001年にアゴスティーニ氏がこの手法を用いてアト秒という非常に短い時間だけ光を出す方法を確立します。

アト秒は100京分の1秒という非常に短い時間です。

各物体の動きのスケール、電子や原子はアト秒に該当
各物体の動きのスケール、電子や原子はアト秒に該当 / credit:Attosecond physics

アゴスティーニ氏の研究ではこの光を連続して出すことしかできませんでしたが、クラウス氏はこの光を1回だけ発生させる手法を確立しました。

この光をカメラのフラッシュのように利用すれば、素早く動き回る電子のような物体もその運動を正確に測定・記録することができます。

電子の動きを知ることができれば、電子制御の発展につながるのはもちろん、分子の動きを知ることで分子を識別し医学的分野でも疾患の診断などにつながることが期待されています。

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