東京大学によって「因果を打ち破って充電」する量子電池が発表
東京大学によって「因果を打ち破って充電」する量子電池が発表 / Credit:東京大学 . 量子電池は因果関係を打ち破る
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東京大学が「因果を打ち破って充電」する量子電池を発表 (2/3)

2023.12.27 Wednesday

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量子電池とは何か?

東京大学によって「因果を打ち破って充電」する量子電池が発表
東京大学によって「因果を打ち破って充電」する量子電池が発表 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

普通の電池は、充電エネルギーが内部の粒子を順番に高エネルギー化することで電力を蓄えていきます。

もし内部に5個の粒子しか存在しないミニマム電池に対して、少しずつ充電エネルギーを注入していくとすると、5個の粒子が1個ずつ順番に高エネルギー化(励起)していく様子が見られるでしょう。

量子電池も蓄電するにも外部からのエネルギーが必要ですが、蓄電を担当する粒子が普通の電池とは少し異なっています。

普通の電池では蓄電粒子は独立して存在していますが、量子電池では蓄電を担当する粒子たちは互いに「量子もつれ」の関係にあり、量子コンピューターでも扱われる量子ビットとしての性質を持ち合わせています。

量子もつれは、2つ以上の量子ビット(qubit)がそれぞれ相関した状態にあり、一方の量子ビットの状態が他方の量子ビットに即座に影響を及ぼすことが知られています。

この現象は、アルベルト・アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と表現したほど、古典物理学の常識を超えたものです。

(※量子もつれの基本的な概念については下記の記事にて詳しく説明しています)

ノーベル物理学賞「量子もつれ」をわかりやすく解説

量子電池では、この量子もつれの特性を利用します。

量子ビットの数が多ければ多いほど、もつれのネットワークが大きくなり、瞬時に相関する粒子数が増えていきます。

この状態で粒子に対して充電を行うと、エネルギーがネットワーク内のすべての量子ビットに素早く分配されるため、充電プロセスが加速されます。

そのため普通の電池では内部の蓄電粒子が多い「大きい電池」ほど充電に時間がかかりますが、量子電池の場合にはもつれ状態の粒子が多ければ多いほど、つまり「大きい電池」ほど充電が早くなるという、興味深い特性を持っています。

通常の電池では1つ1つの蓄電粒子が励起されていきますが、量子電池では量子もつれ状態にされたネットワーク内部の粒子が一度に励起されるからです。

この性質は既に何度も実験的に実証されており、量子電池は通常の電池では達成できない速度で充電できることが示されています。

ただ量子電池であっても性能には限界があり、その限界値は量子力学の法則によって制限されていると考えられていました。

しかし今回、従来の量子力学の枠組みを超えた因果順序を打ち破る原理を加えたことで、さらなる性能アップを試みました。

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