振動するカプセルが満腹感を与える
振動するカプセルが満腹感を与える / Credit:Shriya S. Srinivasan(MIT)_Engineers develop a vibrating, ingestible capsule that might help treat obesity(2023)
health

振動して胃に満腹感を与えるカプセル型デバイスを開発

2023.12.29 Friday

アメリカ人の肥満率は近年特に深刻化しており、全体の42%が肥満だと言われています。

日本は世界の中でも肥満率の低い国ですが、それでも男性の3人に1人、女性の5人に1人は肥満に該当します。

特に40代、50代の男性の40%近くは肥満であり、多くの人にとって他人事ではありません。

そうした肥満には、できるだけ健康的に対処したいものです。

そして最近、過度な食欲を抑える新たな方法が確認されました。

アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)機械工学部に所属するシュリア・S・スリニヴァサン氏ら研究チームが、振動によって満腹感を与えるカプセルを開発したのです。

このカプセルをブタに与えたところ、目立った害を与えることなく食物摂取量が約40%も減少しました。

研究の詳細は、2023年12月22日付が科学誌『Science Advances』に掲載されています。

Engineers develop a vibrating, ingestible capsule that might help treat obesity https://news.mit.edu/2023/engineers-develop-vibrating-ingestible-capsule-1222 A vibrating pill could help treat obesity, pig study finds https://www.livescience.com/health/obesity/a-vibrating-pill-could-help-treat-obesity-pig-study-finds
A vibrating ingestible bioelectronic stimulator modulates gastric stretch receptors for illusory satiety https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adj3003

胃の膨らみが満腹感を与える仕組み

水を飲んで胃を膨らませると満腹感が得られ、食事量が少なくなる
水を飲んで胃を膨らませると満腹感が得られ、食事量が少なくなる / Credit:Canva

ダイエット中には、「野菜をたくさん食べるように」「食事の前にコップ1杯の水を飲むように」と勧められます。

そうすることで満腹感が得られ、結果として摂取カロリーを抑えることができるからです。

満腹感は、「胃の膨らみ」「血糖値の上昇」「神経伝達物質のバランス」などの要素で決まります。

そして胃の膨らみに関して言えば、次のようなメカニズムで満腹感が生み出されます。

まず水や食物で胃が膨張すると、「機械受容器」と呼ばれる細胞がその伸びを感知し、脳に信号を送ります。

その結果、脳はインスリンのほか、C-ペプチドペプチドYYGLP-1などのホルモンの産生を促します。

機械受容体が胃の膨らみを感知し、脳に「満腹感」を与え、同時に「空腹感」を抑える
機械受容体が胃の膨らみを感知し、脳に「満腹感」を与え、同時に「空腹感」を抑える / Credit:Canva

これらのホルモンすべては連携して働いて私たちに満腹感を得させ、同時に空腹感を促すホルモンであるグレリンの濃度を低下させます。

そのためスリニヴァサン氏は、胃の内側にある機械受容器を振動によって刺激することで、「胃が伸びた」と錯覚させ、人に満腹感を得させることができるのではないかと考えました。

実際、過去の研究では、「筋肉を振動させることで、体は筋繊維が伸びたと錯覚する」と論じられています。

もし、これに似た現象を胃の内側で再現できるなら、水や野菜で胃を膨らませなくとも満腹感を得ることができるはずです。

そこでスリニヴァサン氏は、振動カプセルを用いた実験を行うことにしました。

次ページブタに振動カプセルを与えると、食事量が40%も減少する

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

健康のニュースhealth news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!