誰かがいる気がするという感覚は誰しも体験することかもしれません
誰かがいる気がするという感覚は誰しも体験することかもしれません / Credit:canva
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「背後に誰かいる…」一人でいるのに誰かの存在を感じる現象の科学的説明

2023.10.06 Friday

恐ろしいホラー映画を鑑賞した後や、怖い話を聞いてしまった日の夜、部屋に一人でいるとなんとなく誰かがいるような気がすることはありませんか?

その時、あなたの後ろには霊が……、ではなく、誰もいないはずなのに誰かがいるような気がする現象は、科学で説明がつくようです。

「一人でいるのに誰かがいる気配がする」と感じたことがある人は意外にも多く存在しており、決して幻覚や勘違いで片付けられるようなものではなく、古くから幾度にわたり研究が行なわれています。

その結果、どうやら「何者かの存在感」は人が常に持っている感覚と強い関わりがあるようです。

具体的にどんな要因が「何者かの存在感」を演出しているのでしょうか。

Feel Like You’re Not Alone, But You Are? Science Can Explain That Creepy Feeling https://www.sciencealert.com/feel-like-youre-not-alone-but-you-are-science-can-explain-that-creepy-feeling
Varieties of felt presence? Three surveys of presence phenomena and their relations to psychopathology https://www.cambridge.org/core/journals/psychological-medicine/article/varieties-of-felt-presence-three-surveys-of-presence-phenomena-and-their-relations-to-psychopathology/C7DD60644076559D5685D51226693E5D Neurological and Robot-Controlled Induction of an Apparition https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982214012123

この部屋、誰かがいる気がする……

部屋に一人でいる時に「自分以外の何か」の存在を感じるような経験をしたことがある人は多いと思います。

ホラー映画を鑑賞した後などに、お風呂に入れないという定番のエピソードも、頭を洗っている時背後に何者かの存在を感じるなどが理由ではないでしょうか。

世界を見てもこのような体験をしたことがある人は多いようです。

古くは、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの3人の学寮長によって心霊現象を科学的に検証するために設立された「心霊現象研究協会(SPR)」が1894年に行った「幻覚の国勢調査」で報告されています。

この調査では1万7000人以上を対象に不思議な体験の有無を調査したところ、43人に1人が自分以外の何者かの存在を感じたことがあると回答しています。

これはたまたまや、勘違いの申告と捉えるには無視できない割合であると分析されました。

ただ当時、幻覚は超常現象の一種と解釈されていて、非科学的であると多くの人から懐疑的な目でみられていました。

SPRの調査自体は信頼性が高いと考えられていましたが、誰かがいるような感覚を覚える人が多いという結果については、何らかの不思議な体験をした人を中心に調査を行ったことで現れた回答の偏り(回答バイアス)なのではないかと、疑問視されたのです。

しかし、不思議な体験や感覚は、今も多くの人の間で語られ続けていることから、一定の人々が自分以外の何かの存在を感じていることは間違いないでしょう。

多くの人々は、このような体験をした時、実際に自分の身に何が起こったのかはうまく言葉にできないかもしれません。

しかし現在では、心と身体の科学的モデルを用いて、この不可解な体験を説明する研究がいくつか報告されています。

不思議な体験も古くから研究されてきました
不思議な体験も古くから研究されてきました / Credit:canva

睡眠麻痺(金縛り)と関連している

SPRが集めた体験談の中には、入眠時幻覚と考えられるものが多く見られます。

入眠時幻覚とは、覚醒状態から睡眠状態へ移行する際の半覚醒状態で体験する幻覚のことで、現代の話題でよく耳にする現象としては「睡眠麻痺」、いわゆる金縛りがこれにあたります。

睡眠状態へ移行する際、が半覚醒状態で、身体が深い睡眠に入ると身体は動かないのに意識はあるという金縛り状態になることがあります。

心霊現象の報告は多くが入眠時幻覚と考えられている。典型的なものが金縛り。このときなにかの存在を感じたという報告も多い。
心霊現象の報告は多くが入眠時幻覚と考えられている。典型的なものが金縛り。このときなにかの存在を感じたという報告も多い。 / Credit:canva

またこの状態の時、意識も睡眠状態に向かっているため、夢と現実が混同されたような幻覚を見ることがあります。実際、睡眠麻痺を経験した人の半数以上が、何らかの心霊体験をしたと報告します。

ビクトリア朝時代にSPRが記録した体験談では、この入眠時幻覚では善良な精霊など人に安心感を与えるものの存在を感じたという報告が多かったようです。

しかし、現代の睡眠麻痺の体験では、恐怖や不安を与える何かの存在を感じる傾向が強くなっているようです。

時代によってこの入眠時幻覚の体験には傾向に違いがあるものの、世界各地で何物かの存在感に関連するさまざまな伝承があることから、これらが人間の共通して体験する現象であることは確かなようです。

しかし、なぜ睡眠麻痺という状況が何物かの存在感を生むのでしょうか。

2007年に行われた研究では、睡眠麻痺の状態で目覚めた時、我々の本能が危機を感じ、脳がその不安を埋める形で何物かの存在感を生み出すのではないかと提唱されました。

さらに最近の研究で、この何物かの存在感は、睡眠麻痺だけでなく、パーキンソン病や精神的な問題など、さまざまな状況で体験されることが明らかになっています。

このことから、単に睡眠中の現象だけでなく、より幅広い現象として捉える必要があるのかもしれません。

次ページ感覚の混乱が「何者かの存在感」を生み出す

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