アワフキムシの唾液で作られた家
アワフキムシの唾液で作られた家 / Credit: jp.depositphotos
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春先に出没する「草についたアワ」見たことある? アワフキムシが「ツバで作った家」に住む理由

2021.04.22 Thursday

毎年春になると、植物に白い泡の固まりがよく見られるようになります。

この正体はアワフキムシの幼虫が作ったマユです。

彼らは英名で「Spittlebug(ツバ吐き虫)」と呼ばれており、このアワとは要するに、幼虫が出したツバのこと。

自分のツバの中に住むなんて想像するだに気味が悪いですが、なぜツバを材料に選んだのでしょうか?

Why Do Spittlebugs Live Inside Cocoons Made Of Their Own Spit? https://www.scienceabc.com/nature/animals/why-do-spittlebugs-live-inside-cocoons-made-of-their-own-spit.html

ツバの材料は植物から吸い取った水

アワフキムシは、カメムシ目アワフキムシ上科に属する小さなです。

大人でも体長2センチほどしかありません。

しかし身体能力は高く、70センチもの高さまでジャンプすることができます。

大人になると体表もしっかり丈夫になりますが、幼虫は体色が淡くて柔らかく、見た目にも弱々しい限りです。

アワフキムシの幼虫
アワフキムシの幼虫 / Credit: jp.depositphotos

アワフキムシは秋口に卵を産んで、春先に幼虫たちが孵化します。

幼虫のエサとなるのは、植物の中を流れる水分です。

植物が根っこから吸収した水は「道管」を通して運ばれますが、彼らはその道管をかじって水を飲んでいます。

この水こそがツバの材料となるのです。

幼虫が作る泡
幼虫が作る泡 / Credit: ja.wikipedia

幼虫は摂取した水を体内ですばやく処理し、自重の約280倍もの水性の排泄物をお尻から出します。

ですから、ツバというよりウンチといった方が正確かもしれません。

排泄を終えたら、彼らは腹部から界面活性剤を分泌し、水の表面張力を下げて泡を発生させます。

ここに空気を吹き込んだら、泡状のマユの完成です。

では、このマユにはどんな役割があるのでしょうか。

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