The Blue Marble
The Blue Marble / The Blue Marble credit:NASA/Apollo 17 crew; taken by either Harrison Schmitt or Ron Evans, Public domain, via Wikimedia Commons
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現状宇宙で唯一の生命の惑星『地球』ー惑星としての特殊性を解説! (2/4)

2024.08.17 Saturday

前ページ生命に満ちあふれた惑星

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動いている大地

地球は、私たちが住んでいる惑星ですが、普段の生活では地球の内部がどうなっているかあまり意識することはないでしょう。

人類は太陽系の果てまで探査機を飛ばしましたが、実は地球の内部には到達できていません。地面を最も深く掘り進めた世界記録は約12kmです。これは地球の半径の約0.2%にすぎません。堀り進むにつれて圧力や温度が高くなり、12kmの深さでは数百℃、1200気圧以上という高温高圧になります。

ではなぜ地球の内部について、人類は色々詳しいことを知っているのでしょうか?

実はこうした研究には地震が利用されています。地球の内部の状態は、地震の波の伝わり方や重力の計測によって調べることができるのです。

地震波の速度は地球内部の密度や圧力によって異なるので、この速度の違いを用いて、地下内部の構造を推測することができます。

そのようにして調べた結果、地球は外側から軽い岩石成分の地殻、やや重い岩石成分でできた流動するマントル、高温で溶けている鉄などの金属質のという層構造になっていることが分かりました。マントルはあくまで固体です。ただし長い時間でみると少しずつ動いています。

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地球の内部構造 Credit: Washiucho, Public domain, via Wikimedia Commons

この層構造はゆでたまごに似ています。表面の薄い地殻は卵の殻、その下のマントルは白身、中心の核は黄身に相当します。マントルは固体で、核の外側部分(外核)は液体になっているので、半熟のゆでたまごですね。

私たちの住んでいるこの大地は動かないように思えますが、実は年々少しずつ動いています。地殻の一部は大陸をつくるプレートという板状のものに分かれ、マントルの対流などによって動いているのです。これをプレート運動といい、プレート運動によって大陸の移動を説明する理論をプレートテクトニクスと呼びます。

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地殻を構成するプレート群 credit:USGS、鷲羽町, Public domain, via Wikimedia Commons

地殻とプレートとは正確には別物です。地殻・マントル・核の3層は化学組成の違いによる区別です。一方、プレートは力学的な性質の違いによってその下の層と区別されます。

プレートの実体は、リソスフェアと呼ばれる硬い岩石の層で、その下にあるのがアセノスフェアと呼ばれる流動的なやわらかい層です。

プレートは中央海嶺で生まれ、ベルトコンベアのようにマントルの対流に沿って動いて海溝に沈み込みます。プレート同士がぶつかったり、すれ違ったりするプレート境界では火山や地震の活動が活発で、こうした地質活動はプレートテクトニクスによって説明できます。

例えば、日本列島には地震や火山が多いですが、これはプレートテクトニクスによれば当然のことです。ユーラシアプレート、北アメリカプレート太平洋プレート、フィリピン海プレートという4つのプレートが日本列島の下でひしめき合っているからです。

ところで、地球以外の地球型惑星(岩石惑星)でもプレートテクトニクスは機能しているのでしょうか?

現在の科学的知見によると、地球以外の地球型惑星(水星、金星、火星)では、地球のようなプレートテクトニクスは機能していないと考えられています。

火星や月などの小さな天体は、すでに内部が冷えてしまっており、活発なマントル対流が起こっていないと見られています。

とはいえ火星には、太陽系最大の火山といわれるオリンポス山などの巨大火山が点在します。こうした火星の存在は、火星の地質活動が、過去には比較的活発で、地下深部からのマントルの上昇流である「プルーム」が起きてたことを示しています。

しかし、なぜ地球より小さい惑星である火星に、地球には存在しないような巨大火山が形成されるのでしょうか? 実はその理由にプレートテクトニクスの機能が関係しています。

地球でもプルームが火山を形成することはあるのですが、地球ではプレート運動も同時に存在するため、このプルームの位置は徐々に移動していきます。

例えば、ハワイ諸島はプルームによって形成された火山島に由来しますが、太平洋プレートが北西方向に移動するため、この火山島は同じ方向にズレながら形成されていきます。

このように東西に小さな島が連なるハワイ諸島の形成は、プルームによる火山活動と、プレート運動の組み合わせによって説明できるのです。

プルーム
プルーム / credit:すじにくシチュー, CC0, via Wikimedia Commons

一方で火星はプルームがずっと同じ場所で持続的に起きるため、巨大な火山に成長していくのです。もちろん重力が小さい点や、大気圧が低い点も火山の巨大化に影響していますが、オリンポス山のような巨大火山の存在は、火星にプレート運動がないことの証拠になるのです。

金星は地球と同じくらいの大きさで内部構造も似ていますが、その表面は1枚の硬いプレートに覆われていると考えられています。したがって複数のプレートの動きによるプレートテクトニクスは機能していません。

プレートテクトニクスが地球にだけ存在するのはなぜでしょうか?

やはり地球にのみ存在する水が、プレートテクトニクスの機能に重要な役割を果たしていると考えられています。水は岩石の強度を下げ、断層を滑りやすくし、プレートの動きを促進すると考えられています。

また、地球の表面温度がプレートを形成するのに適しているという要因もあります。他の惑星では、表面温度が高すぎたり低すぎたりして、地球のようなプレートの形成ができなかったのでしょう。

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