人間とは不思議なもので、「一人の時間」が死ぬほど嫌いな人もいれば、「一人の時間」を確保するために遠方に旅をする人もいます。その違いは私たちの性格、特に「内向的」か「外向的」の違いに関わっていると考えられてきました。しかし新たな研究が、その違いがそんなに単純に結論付けられるものではないことを示しています。
今回の研究では「内向的・外向的」といった指標よりも、「自律傾向」といった項目が「一人好き」かどうかを分けるものとされました。この傾向が強い人物は、他者からのプレッシャーに強く、自分の感情や個人的な体験からの学習に関心があります。そしてそのような人は、そんな「自らに向けられた関心」への欲求を満たすために、孤独を楽しむことができるというのです。
実験の中で被験者には、15分間の「孤独な時間」を7日間過ごしてもらい、その後細かなアンケートにその時の体験について回答。その結果、「内向的」な人が「外向的」な人よりも孤独を楽しんでいるわけではないことが明らかになりました。一方、「自律傾向」において高いスコアを出した人は、そうでない人と比べて孤独を楽しめていることが判明。彼らは孤独な時間にネガティブな思考を巡らせていなかったのです。
また、一人の時間を作る「モチベーション」についての調査においても、「内向的」な人が「他者から逃げるため」といった「受け身」のモチベーションを内包しがちだったのに対し、「自律傾向」が高い人は「自分を高めるため」といった、より「建設的」なモチベーションを持っていたことが分かりました。
この研究がまだ査読を経ていないことには注意が必要ですが、この結果は、私たちの「内向的・外向的」といった性格傾向と「孤独」の関係について再考を迫るものです。つまり、その人が「内向的」だからといって、必ずしも自ら進んで「孤独」を選んでいるわけでは無いかもしれないのです。
フランスの哲学者サルトルは、かつてこのような言葉を残しています。
“ If you’re lonely when you’re alone, you’re in bad company ”
もし一人の時間に寂しいと感じたならば、あなたは人間関係に恵まれていない
あなたは「一人の時間」が好きですか?
もし孤独な時間に大きな喜びを感じているのであれば、あなたは「内向的」なのではなく、「自律傾向」が高い人物であると言えるのかもしれません。